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彼と別れておぼつかない足取りでカカシの家へと向かっていた。
もう通いなれた道のり。

あの道を曲がれば屋根が見えてきて、そしてまっすぐ歩けば・・・

「あ・・・・」

あたりはすでに暗かったが、見えてきたカカシの家の窓から明かりは漏れていなかった。

「まだ帰ってないんだ」

ひたすらカカシを求めて歩いてきてしまったために、カカシがあの後どうしたか考える余裕もなかった。
あの女の人がカカシを誘惑しているのを聞いてしまった。
もしかしたら今日、ここに帰ってこないのかもしれない。

「カカシ・・・」

それでもカカシを求める体は止まらずに、不在とわかっていても玄関の前に来てしまった。
ドアノブにそっと触れるも、その冷たい感覚に力なく手を下げた。

「なにやってんだろ・・・」

一気に足の力が抜け、ずるずるとその場にしゃがみこんでしまった。
自分の震える膝を抱え、重たい頭も支えきれずにこうべを垂れる。

幸せだった空間から自ら逃げ出して、向かった先は暗闇で。
虚しくて、そんな自分に腹が立って、でも心の中では小さな希望に賭けている。
頭がおかしくなってしまったのだろうか。
自分のことなのに何一つ分からない。

両目からあふれてくる涙が抱えた膝を濡らしていく。
この涙の理由すらも分からない。

ここに彼が来てそっと肩を抱きしめてくれたら?
いや、きっとそれは空想に描いた幸せの形。

本当の私が望んでいるのは・・・。


「ちゃんと“待て”ができるなんて、優秀じゃないの」
「カ、カシ・・・!」

いつの間に帰ってきたのか、カカシは小さくしゃがんだサワラの傍らに立ち見下ろしていた。

「“待て”というより“おあずけ”かな?」

相変わらずの不敵な笑みを浮かべながら玄関のカギを開けてドアを大きく広げた。

「優秀な子にはご褒美をあげなきゃね」

しゃがんだまま呆然としているサワラを置いてカカシは先に家の中に入った。

「ほら、おいで」

暗い部屋の中で鈍く光る瞳を向けるカカシにどこか恐怖を感じた。
それと同時にその恐怖に強く惹きつけられる自分もいた。

大きな暗闇が襲い掛かってくるかのような感覚。
ゾクッと背筋が震えるが、足に力を入れて立ち上がった。
一歩足を踏み入れるとそこから先は簡単で、目の前に広がる暗闇が心地よくも感じた。

「あの女の人は?」
「さあね」

バタンとドアが閉まり、一気に静けさと暗闇が二人を包み込む。

「そういうサワラこそ、彼はどうしたの?」
「・・・さあ」

サワラの返答にカカシはニヤッと口の端をゆがませた。

「それじゃあ遠慮なく」

ドン、とサワラを玄関の扉に押し付け、妖しく笑ったまま口づけた。

「んん・・・」

酸欠になりそうなほどの口づけの合間に、カカシはサワラの服を慣れた手つきで脱がし始め、それを見たサワラもカカシの服を脱がし合った。



「はあ・・・あ・・・」

玄関からベッドに続くように脱ぎ捨てられた二人の服。
すでに一糸まとわぬ姿でベッドの上で絡み合っていた。

「ん・・・カカシ・・・」
「いい顔」

まだ挿入せずにヌルヌルと自身を擦り付け、サワラのその反応を楽しんでいた。
敏感な場所に触れるたびにビクッと震え、はやく挿れてほしいと言わんばかりに腰が揺れる。

「あの時も、こんな顔してた」
「あのとき・・・?」
「席で見てたでしょ、こっち」

ドキッと心臓がひきつった。バレていた。
カカシがこっちを見ていないから気づいていないと思っていたが、そんな簡単な話のわけがなかった。

「あの時もこんなものほしそうな顔して、せっかくバレないようにしてあげたのに。周りにバレたらどうするの?」
「そ、そんなこと・・・!」
「彼が鈍感でよかったね」
「あっ、や・・・!」

話の途中でズブ、と自身が入り込んできて、思わずシーツを強く握りしめた。

「今日どんな話した?まさか俺が教えたお店にちゃんと来るなんてね」
「や、やだ・・・、あ、んっ!」
「あんな嬉しそうな顔しちゃってさ」

カカシの口から紡がれる言葉は愛の囁きどころか、行為中に思い出したくない彼の話題ばかり。

「まさかデート抜け出して俺とセックスしてるなんて思ってもないんじゃない?」
「う・・・っ・・・んく・・・」

苦しくて悔しくて、ボロボロと涙があふれてきて止まらない。
カカシはそれを見てなおさらサワラの首を言葉で絞めていった。

「その涙はなに?俺とのセックスが気持ちよすぎて?」
「ちが、ちがう」
「まあいいよ。そういう理由に変えてあげる」
「ひっ、ああっ!」

何度も体を合わせてきたぶん、サワラの弱いところをピンポイントで突き上げるカカシ。
その瞬間に頭の中が真っ白になり、まるで全身に電撃が走ったよう。

「あいつ、サワラのことを嬉しそうに話してたよ。例えばね」
「いや、やだ、カカシ、んっ、聞きたくない!」
「いつも優しくて、笑顔が素敵なんだって。ハハ」

カカシの嘲笑が辛辣に突き刺さる。
耳をふさごうにも手を押さえつけられ、最後の抵抗としてギュッと強く目を閉じた。
それでも暗闇の中に嬉しそうに笑う彼の顔が浮かび、慌てて消すように目を開けるとカカシが狙ったかのようにニヤリと笑った。

「思いを伝えたはいいけど、返事がまだで少し不安らしいよ。はやく返事してあげたら?」

ナイフのような言葉でズタズタにサワラを傷つけながら、カカシのヒヤリと冷たい手が頬を撫でればそこは熱を持ったように熱くなる。
カカシが顔を寄せて、もはや抵抗する力もなくいつものように口づけられた。

「んんっ、ふあ・・・」

すでに限界が近かったのにもかかわらず口づけられながら揺さぶられ、さらに涙があふれてくる。

「あいつともキスしたんでしょ?どうだった?」
「んっ、や、だ・・・!もう、やめて・・・」
「彼といても俺とのセックスのこと考えてたんでしょ?よく我慢できたね。えらいよ」
「・・・・ッ!」

一瞬だけでも褒められただけで身体が悦ぶ。
それを見計らったかのようにカカシは優しくサワラの頭を撫で、そっと耳元に顔を寄せた。

「俺が全部忘れさせてあげる」
「ッ・・・カ、カシ・・・!」

悲鳴のような甲高い声をあげ、サワラはカカシに抱き着いて達してしまった。

強く目を閉じた暗闇の中に浮かぶのは、優しく微笑む彼ではなくて、歪んだ笑みを浮かべるカカシだった。

そして頭の中で警告を鳴らすようにチカチカと点滅する












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