さん、俺はあなたのことが好きです」


カラン、と溶けだした氷が相づちを打つように音を奏でた。
一気に飲み干した酒が、またしても頭を麻痺させてくる。


「あなたのことが、好きで好きで、たまらないんです」


見つめる先のは、いまだにグラスを見つめたまま。
心の内を一度口にすれば、自然にほろほろと言葉が溢れてきた。


「四六時中あなたのことを考えては、胸が苦しくなります」


本当はもっと、もっともっと想っているのに。
それを伝えられる言葉が見つからない。


「すこし意地悪なところもありますけど、そこも含めて、あなたの全てが愛おしいです」


ようやくは顔を上げた。

「・・・うん、いい感じ」

困ったように眉を下げて、カカシに微笑んだ。


「ちがくて・・・そうじゃなくて・・・」


もどかしくて、小さく微笑んでいるに口づけようと顔を寄せた。

「だ、だめだよ!」

カカシが近づいた分、同じようには顔を離した。
目を丸くして、でもどこか怒っているような表情。

「違うでしょ?こんなことしたら、ほんとに・・・!」


を黙らせるように、
もう、なにもかもお構いなしに無理やり口付けた。


「カ、カカシくん・・・!」

顔を真っ赤にして、慌てて口を離したに、たまらずもう一度唇を重ねた。


「俺はあなたのことが好きなんです、さん」


言葉にしたら、たったそれだけなのに。
回り道して、ようやくたどり着いた。

カカシを見つめるの瞳が、きらきらと、そしてゆらゆらと揺れる。

「返事、聞かせてくれませんか?」
「カカシくん・・・」

の声は震えていた。
もうこの際、いい返事であろうがなかろうが、もうどうでもいい。
この想いだけが伝われば、昇華されればいい。

「わたし・・・カカシくんが好きな人がいるって聞いて、素直に喜べなくて・・・。
 でも、応援しなきゃって、頼ってくれたんだからって」

ふい、とようやく視線をカカシから外した。
それでもカカシはお構いなしにを見つめた。

「なのに、ずっとモヤモヤしてて、なんだかつらくて・・・」

あぁ、なんて愛おしい。
こんなにも鈍感で、素直すぎる言葉がますますカカシを魅了させる。

「それってさ、さん」

カカシの言葉に、再びは顔を上げてカカシを見つめた。

「つまり俺のことが好きってことじゃない?」
「え・・・?えっ?!」

図星をつかれたような驚きと戸惑いで、途端に顔を赤くした。

さんの口から、きちんと言ってほしいです」
「・・・・」

ドギマギと目を泳がせるの手をとり、カカシは優しく微笑んだ。

「カカシくんのことが・・・好きだよ」

えへへ、と観念したように照れて笑うに、カカシはくらっとK.O.寸前。
堪えきれずに立ち上がり、適当に代金を机の上においての手を引っ張った。
あれよあれよと言う間に店から引っ張り出されて、ぐいぐいと手を引かれて連れてかれていく。

「カカシくん?!」
「ごめんなさい、でももう・・・」

戸惑うに曖昧な答えだけ告げ、ある場所へとたどり着いた。

「ここって・・・」
「俺の家」
「えぇ?!」

さっさと玄関の扉を開けて、中へとを招き入れた。

さん・・・」

突然の出来事に当惑しているを玄関の扉に押し付け、半ば強引に唇を重ねた。

「ッ・・・」

縋りつくようにカカシの背中にの手がまわされ、それをいいことになおも深く口づけた。

「んっ・・・ふ・・・」

口の端から漏れる吐息にますます抑えが利かなくなりそう。
暴れだす理性にストップをかけて、ようやく口を離した。

「はあ・・・」

いつもとは全く違う、とろけた甘い表情を浮かべているにカカシは目を離せなかった。

「食べられちゃうかと、思ったよ」

恥ずかしそうに笑うに、もはや歯止めは効かなかった。

さん、こっち」

靴を脱ぎ捨て、再び手をとって家の奥へと誘い込んだ。
抵抗も、拒絶もしないを寝室に連れ、どさっとベッドに押し倒した。


「俺、もう止められそうにないですけど・・・」

最後の理性でそう告げれば、は恥ずかしそうに目を泳がせて小さく頷いた。

「・・・うん」

ドキン、と心臓が高鳴り、たまらずに口づけた。
優しく頭を撫で、するすると手を下ろしてシャツのボタンを外した。
服の隙間から手を差し入れて、ふくらみに手をかけるとの肩がピクリと震えた。

はあ、と吐息をもらして口を離すと、とろけた表情を浮かべるがカカシを見つめていた。
その目に引き込まれてしまいそうで、まるで逃れるようにカカシから視線を外した。

「ん?」

視線を映した先には、シャツの隙間から覗く可愛らしい下着が。
どこかで見覚えが・・・と思考を巡らし、はっと気づく。

「これって・・・」
「カカシくん、こういうの好きなんでしょ」

ふふっとやけに色っぽい笑みを浮かべるに、くらっと眩暈がする。

が身に着けている下着は、あの時連れて行かれた下着屋で買ったもの。
あの時は、もしが身に着けていたら、とその姿を想像して舞い上がっていたが、いざ目の前にしてみるとその感動もひとしお。

もしかして、と早急にスカートをずりおろし、下も確認する。

「ちょ、ちょっとカカシくん・・・!」

恥ずかしがるを尻目に、上と下とでセットになっている下着を目にしたら、もういてもたってもいられなかった。


「もう、あなたはどれだけ俺を魅了すれば気が済むんですか・・・」

「ええ?!」








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