数日間にわたる任務の後、そのままの足で倉庫を訪れた。

まだ日が高いうちに倉庫を訪れるのは初めてだった。
相変わらず中は薄暗く、じめっとした空気が流れていて、まるでここだけ異空間のよう。


「やあ、具合はどう?」


マットの上で横になっているの前に立ちはだかれば、驚いたように上半身を起こした。

数日ぶりに見るはますます衰弱したように見えた。
視界の端に今まで届けさせた弁当の残骸が見えるが、その中身はほとんど残っているようだった。

「わざわざ届けてやったのに、ひどいことするねぇ」
「食欲がないの」

カカシの冷ややかな目を避けるように、は俯きがちに呟いた。
中途半端に残された優しさはまだ相変わらずのようだ。

カカシはポーチからリンゴを取り出し、一口噛みついた。
少しだけ噛み砕き、の前にしゃがみこんで口づけた。

「!」

驚くの口に、咀嚼したリンゴを流し込む。
飲み下したのを確認してから口を離し、再び一口噛み砕きへと流し込む。

拒絶されるかと思いきや、素直に受け入れる
何度か繰り返し、最後の一口を流し込んだ後、そのまま舌を絡ませた。

「んっ・・や、やめて!」

どん、とカカシの肩を押して口を離した。

「うるさい」

お構いなしにの腕を抑えつけて押し倒した。
マントをはぎ取り、乱暴にその身体に手を這わせる。

その隙にも噛みつくように唇を合わせ、力加減も分からずに胸の膨らみを鷲掴みにし、愛撫と言えない愛撫を施す。
数日間、人の肌に触れてこなかった感覚を埋めるように、執拗に肌を撫でまわした。

「やっ、いたい、やだ・・・!」

無理やりカカシから口を離し、明らかに最初の頃より落ちた力で抵抗する。

「あぁ、そうだ」

ポーチに手を伸ばし、中から錠剤を適当な個数取り出してガリッと噛み砕いた。

突然何事かと不思議そうな顔をしているの顎を押さえ、先ほどと同じようにどろりと流し込んだ。

「んんっ!!」

吐き出そうと暴れるの鼻と口を押さえ、無理やり飲み込ませた。
の喉が動いたのを確認し、自分も口の中に残っているものを飲み込んだ。
怯えた表情でカカシを見つめる青い顔をしたに、いつもの微笑みを返した。


「一緒にとぼうよ」


ニタリと笑う自分の表情は、きっと狂気じみているだろう。
の怯えた顔がカカシの背筋をゾクゾクと震わせる。


あぁ、思い出してきた。

そうだね。
もう堕ちていいよ。
きっと一人で堕ちるのは怖いだろうから、一緒に堕ちてあげよう。


「な、なに、これ・・・・」

は苦しそうに顔を歪ませて、艶めかしい吐息をもらした。

「はは、いい感じに効いてきてるね」
「なにを、飲ませたの」

鋭く睨むに口づけ、舌を絡ませた。

「ん・・・!ふ、あ・・・・」

の手はカカシを押し返すどころか、両肩に添えたまま力が入らなかった。
抵抗しないことをいいことに、頭を撫で、好きなように舌を絡ませる。

愛のない口づけは味気ないが、まるで恋人同士のように舌を絡ませればしだいに頭がマヒしてくる。

が息苦しそうな表情を浮かべ、ようやく口を離すと、つう、と一筋の糸がつながった。
はぁ、と荒い呼吸を繰り返すの身体に再び手を伸ばす。

カカシの冷たい手が、熱くなったの肌に触れるとその身体をびくりと震わせた。

「やっ、なに、これ・・・」

戸惑うをそのままに、ふくらみを優しく包み込む。
手のひらに当たる主張したものを愛撫するように手を動かせば、その手から逃れるようには身体をよじった。

「やだっ、まって、触らないで・・・!」
「すごいね、まだ頑張るの?」

こりっと先端をつまめば、ついにから甘い声が漏れた。

「あっ・・・!や、だめ・・・」

力のない拒絶の声が、カカシの気持ちを高まらせる。
片手で先端をつまみながら、もう片方に舌を這わせた。

「や、あっ!だめ、はあ、あ・・・!」

びくびくと身体を震わせながら甘い声を上げるだが、カカシも薬を飲んでしまったため同じように身体が火照ってくる。

服が肌に当たるのが煩わしくなり、カカシは初めてを前にして服を脱いだ。
ズボンも下着も脱ぎ、すでにそそり立っている自身を出した時、は一瞬動きが止まったがすぐに顔をそらした。
しかしその顔を見逃さなかったカカシはの上に覆いかぶさり、顎をとって無理やりこちらを向かせた。

「随分といい顔するようになったじゃない」

はあ、と熱い吐息をもらすの顔は、今までに見せたことのないような、物ほしそうな表情。
の下半身に手を伸ばし熱を持ったそこへ指を挿し入れると、そこはもう蜜がしたたり落ちそうなほどだった。

「なにこれ、すごいよ」
「いやっ・・・ちがうの・・・!」

試しに一本だけ挿し込むと、なんの躊躇なくすんなりと受け入れた。
指を動かせばすぐに水音が響き、カカシの指を締め付ける。

「あ、や、だめ・・・」

それだけで吐息をもらすに、カカシの自身がうずきだす。
指を引き抜き、蜜の絡んだ指を見せつけるように舐めた。

はぁ、はぁ、とカカシのことを物欲しげに見つめるに、カカシはニヤリと笑う。
ぐいっと引き寄せ、抵抗しないまま脚の間に入り込み自身を宛がった。


「欲しいんでしょ?」
「・・・・」


カカシの問いに、乱れた吐息をもらすだけで返事をしない
ただその目はカカシの自身に釘付けで。


「気持ちよくなりたいんでしょ?」


再び問えば、残った理性で何かを考えるように目を泳がせた。


「俺のが欲しいって言えたら、最高に気持ちよくしてやるよ」
「・・・だ、れが・・・そ、んなこと・・・!」

息も絶え絶えに、の最後のプライドを守るために説得力のない言葉が紡ぎだされた。
ほとんど力のない睨みをカカシに向けるが、その目にはすぐにバランスを崩してしまいそうな脆さが見えた。


あぁ、最高の答えだ。

最後の最後まで抗うなんて、まるで求めていた通り。

このままめちゃくちゃに犯してしまいたい。
けれどこんなにも望みどおりに応えてくれたのだから、自ら堕ちる姿を最後に見せてほしい。


快楽の波に溺れないよう耐えているの腰をつかみ、無理やり体を動かして四つん這いにさせた。

「やっ・・・だめ・・・」

言葉では拒絶するものの、その響きにはどこか期待が垣間見える。
脚をしっかり閉じさせ、その隙間に自身を宛がった。

「な、なにを・・・」
「いらないなら、あげない。それくらい意味わかるでしょ?」

そう言って、ずるりと自身を足の隙間に挿入した。

決しての熱くとろけたところには挿れない。
けれどカカシの自身が触れるか触れないかのぎりぎりなライン。

「やっ、あ、なに、やだ・・・!」

まるで挿入されているかのような錯覚に陥るが、それに見合う快感が伴わない。
じれったくて、ただひたすらに焦らされるばかり。

ぐいっと再び脚を強く閉じさせ、カカシは腰の動きを早くした。
から溢れる蜜と自身から迸る先走りが混ざり合い、動きがより滑らかになっていく。

「んっ!はあ、やめて・・・」

犯されているようながつがつと後ろから揺さぶられる感覚に、はもどかしさと欲望が暴れだす。

「や、やだ、はあ、あっ」
「あー、イきそう・・・」

容量を守らず適当な個数を飲んだ錠剤は思ったよりその効果を発揮した。
強く閉じさせた脚に何度か強く突き上げ、の腹に向かって欲望を吐き出した。

「ひっ!あ・・・」
「くっ・・・はあ・・・」

ぬるりと自身を抜き取ると、中には挿れてないはずなのに自身はすっかりから零れ出た愛液にまみれていた。

は荒い呼吸を繰り返しながら、カカシの精液のにおいや腹を伝う感覚に頭がおかしくなりそうだった。

「ほら、きれいにしてよ。自分のでしょう?」

ゆらりと立ち上がったカカシは脱力したの腕を引っ張り、自身の目の前に膝立ちをさせた。

「・・・・」

いつもなら拒絶の言葉は当然出るはずなのに、はなにも言わずにカカシの自身を手に取り、すぐに口の中へ含んだ。

「は・・・こっち見て」

そう声をかければ、素直にカカシのことを見上げ、一生懸命カカシの自身に舌を這わせた。
そんな光景を目前にし、薬の影響もあってか自分でも驚く速さで自身は硬さを取り戻した。

の頭を優しく撫で、きっと欲情にまみれているであろう表情で見つめ返せば、はなにかを訴えるかのように視線を絡ませた。
あえてそれを無視して、の髪の毛を耳にかけてやる。

ぴちゃぴちゃと音をさせながら舐めるの手が、おずおずと自分の下半身に伸びたのが視界の端にうつった。

手がその場所へたどり着く前に、カカシは腕を掴んだ。

「自分でいじるの禁止」

もはや朦朧とした表情を浮かべるを、ぐいっと押し倒して覆いかぶさった。
先ほどと同じように蜜が溢れているそこへ自身を宛がうだけで、決して中には挿れない。

見るからにさっきより余裕がなさそうな表情をうかべるは、瞳に涙をいっぱいにうかべていた。

「ほら、もう言えるでしょ?」
「・・・・」

もはや考えることすらできなさそうに荒い呼吸を繰り返す
そっと耳元に口を寄せ、最後の一歩を踏み出す助け船を出した。


「二人で堕ちるところまで堕ちようよ」


そう囁けば、は小さく体を震わせてカカシの肩をつかんだ。

「・・・ほ、しい・・・」
「なに、聞こえない」

ようやく絞り出した声は震えていて、カカシに屈してしまう悔しさと、もう耐えられなさそうなうずきと苦悩が入り混じっていた。


「カ、カシのが・・・ほしい・・・」


涙をぽろぽろ流しながら言うの言葉に、それだけでカカシは達してしまいそう。
の言葉が、声が、表情が、カカシの全身を震わせた。

「まったくしょうがない、ねぇ」

ずんっと一気に最奥へと貫いた。

「ッ・・・かはっ・・・!!」

ぎゅう、とカカシの肩を強くつかみ、ふるふると身体を震わせた。
ようやく訪れたあまりにも大きすぎる快感に、すぐさま昇り詰めてしまったようだ。

からの強い締め付けに奥歯を噛みしめて耐え、まだ身体を震わせるをそのままに自分勝手に腰を揺らし始めた。

「あっ、まだ、だめ・・・!あっ!」

そう言いながらもカカシの腰に足を絡ませる
はなからの言うことに耳を傾けていないカカシは、相変わらずのの中の動きに酔いしれていた。

「ねぇ、俺たち体の相性ぴったりじゃない?」

とろけた表情を浮かべるは、否定とも肯定ともいえない目線を向けた。
ふとの首輪に目がいって、身体を屈めて首輪ごと首筋を舐めた。

「ひあ・・・!あっ、やあ」
「首輪、似合ってるよ」

くすぐったそうに首をすくめ、カカシの頭に手を添えた。
きゅう、との中が締まり、またが達しそうなのが伝わってくる。

ニヤリとカカシは笑って、さんざん動かし続けていた腰をピタリと止めた。

「あっ・・・・」

名残惜しげな表情をカカシに向け、荒げた息を繰り返した。

「イきたかった?」

そう尋ねれば、は小さく小さく頷いた。
羞恥心もカカシへの嫌悪もすべて忘れて、ただ自分の快感を求めていた。

「じゃあどうしてほしいのか言って」
「え・・・?」
「ほら」
「あっ・・・!」

ずん、と一度突き上げれば、びくん、と身体を震わせた。
すでには我慢の限界だった。

頭がおかしくなりそう

早く気持ちよくなりたい


「どうしてほしい?」


なにも考えられない

もう、どうでもいい


「突いて、カカシ・・・奥まで、たくさん突いて・・・」


恥も外聞もないの言葉を聞いて、カカシは狂気にまみれた笑みを浮かべた。


あぁ、堕ちた。

ついに堕ちた。


「最高だよ、


吐息をもらすその唇に口づけを落とし、優しく頭を撫でた。

の腰を押さえ、お望み通り奥まで貫いた。


「ああっ・・・!!」


の声を合図に、がつがつと突き上げ続けた。

「あっ!あ、やあ、だめっ!」
「気持ちいい?」
「いい、気持ちいい、はあ、あっ、気持ちいい」

眉をひそめ、ぎゅう、とマットを強く握った。
ついに快感に飲みこまれたその顔は、恍惚と多幸感に満ちていた。

「・・・ねぇ、俺のこと好きって言って」
「んっ、カ、カシ好き、カカシ、好き、好き」

涙を流しながら熱に浮かされたように漏らす言葉が、最高にカカシを興奮させた。

「カカ、シ、あっ、や、イく、あっ・・・あああッ!!!」
「う・・・くは・・・ッ」

の甘美な締め付けに、どくどくと今までにない量がの中に吐き出された。

「あ・・・は、ああ・・・」

びくっと身体を震わせるの上に覆いかぶさり、互いの荒い呼吸を耳元で感じた。

「はあ・・・・・・」
「んっ」

まだ息を乱しているの顎を引き寄せ、吐息と共に口づけた。
息苦しそうにしているものの、カカシの舌に積極的にもねっとりと舌を絡ませた。

「ん、はあ・・・は、ふぁ・・・」

深く口づけているうちに、再び腰が動き始めた。
も脚をカカシの腰に回し、与えられる快感にその身を委ねた。


それからというもの、貪欲に求め合い、欲するがままに身体を動かした。

何度も昇り詰め、何度も体勢を変え、まるで恋人のように互いに名前を呼びあった。



「あっ、はあ、カカシ、イく、カカシ・・・!」
・・・おれも・・・」
「イ、く・・・あっ、カカシ・・・ッ!!!」
「は・・・・・・く・・・!」

いつの間にか辺りは暗くなり、もう何度目かもわからない絶頂を二人は迎えた。

ようやくから自身を抜くと、は涙を浮かべたまま意識を失っていた。


・・・」


目じりに残っている涙を拭ってやり、優しく頬を包んだ。
少し開いた唇を指でなぞる。

その口で、その声で、何度自分の名を呼ばせただろうか。
まるで存在を肯定してもらいたいかのように。


「・・・・、・・・・。」


ぽつりぽつりと、独り言とも誰かに聞いてもらいたいようなものでもないような力なく儚い言葉がカカシからあふれ出た。



「・・・・・・。」


静かすぎる倉庫に、カカシの言葉は消えて行った。


「こんな世界、壊れてしまえばいいのに」


おぼろげな言葉を残し、カカシもの横に気絶するように倒れこんだ。







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