にAランクの任務が与えられた。 木の葉から少し離れた地で、少し名の知れた山賊が暴れているとのこと。 ツーマンセルで一緒になったのは残念ながらカカシではなくてガイ。 「よーし!と俺との青春パワーでさっさと片付けるぞ!」 「は、はや〜・・・」 ワハハと熱く笑いながら目的地に走るガイのスピードに、すでには圧倒ぎみ。 ガイと一緒に任務につくと予定より早く帰還できるのは確かだが、そのぶん疲労感が半端ないことをすっかり忘れていた。 おかげでだいぶ早く目的地に到着することができたが、いざ山賊と戦闘となった時はすでに息が上がっていた。 「、青春フルパワーだぞ!!」 「は、はい〜!」 それでも元気なガイはドカドカと圧倒的なスピードで敵を倒していき、がなんとか立ち回っているうちにすべてを終わらせていた。 「はあ、はあ・・・やっぱ、ガイすごいね」 「こんなので息を切らせているようじゃまだまだだな!」 「あはは・・・そだね」 いやいや、移動で体力持っていかれたんですけど、とは言えずには曖昧に微笑んだ。 「よし!今日中に里に帰るぞ!」 「え?!」 戦闘の疲労はないのか、すでに準備運動をしながら木の葉の里に向かって飛び立とうとするガイ。 しかし辺りは暗くなりはじめ、きっとこのまま帰るとなったら視界が悪いなか夜通し移動となるだろう。 さらにはガイの足を引っ張らないように必死に付いていかなければならない・・・ということを一瞬で思いめぐらせた。 「ま、まってガイ!」 「む?」 そんなの考えるだけでどっと疲れる。 慌ててガイを呼び止めて、あることを提案した。 「温泉!はいっていかない?」 * * * * * 「それでは、大人様2名で一部屋ずつですね。ご案内します」 結局、すぐ近くの街にある温泉宿に向かい、そこへ到着したころにはすっかり日が暮れていたので1泊とまることにした。 「いい感じの宿だな!」 「ありがとうございます。実は今日はほかにも木の葉の里の忍者さんいらっしゃってるんですよ」 「え、そうなんですか?誰だろうなあ」 部屋へと向かう道すがら、案内をしてくれている仲居はホホホと上品に笑った。 「男性の方なんですけどね、でも片目も隠していらしてマスクもされていたからお顔がわからなくて」 お力になれずすみませんね、と眉を下げる仲居だが、は驚きでまん丸に目を見開いた。 そんな怪しい・・・いやいやそんな特徴的な人、この世でたった一人しかいない。 「そ、その人って、あの、銀色の髪でした?!背が、この濃い人と同じくらいでした?!」 「えぇ、そうですそうです」 「なんだ、知ってるやつだったのか?」 ガイの発言に思わずガクッと力が抜ける。 「カカシさんだよ!!」 「な、なにィー?!」 「あらあら」 「なーんか暑苦しいと思ったら・・・」 廊下の角から、聞き覚えのある声が聞こえてきた。 「カ、カカシさーん!!」 任務の疲れはどこへやら、廊下の端にいつものように気怠そうに立っているカカシのもとへ走り寄り、ドカッと抱き着いた。 「わー!なんでここにいるんですか?泊まってるんですか?温泉入りましたか?」 「はいはい、どうどう」 はしゃぐの頭を犬をあやすようにポンポンと撫でた。 「ならカカシも俺たちと一緒に泊まらんか?は別室だが」 「えー、おれやだよ、ガイとなんて」 「え?それってわたしとだったらオッケーてこと?」 キラキラと瞳を輝かせながら見上げるをぐいっと引き離しながら、カカシは小さく息をついた。 「おれも任務帰りで疲れてるんだから静かに寝たいってわけ」 「そっか・・・」 「それは仕方ないな・・・」 明らかにしょんぼりするガイと。 顔を見合わせがっくしと肩を落とした。 「じゃあ・・・また今度ね」 「じゃあなカカシ」 「・・・・ま、待て!」 しょぼしょぼと歩き出す二人に、思わずカカシは声をかけた。 「仲居さん、俺の部屋にこいつ入れてください。あと、隣の部屋にこいつを」 「はい、かしこまりました!」 急な要望にも仲居さんは満面の笑みで微笑んで、行き先を変更した。 「カカシさん・・・!」 「カカシ!!」 「ま、せっかくだからね」 途端に尻尾をふって喜ぶ犬のように笑顔を浮かべる二人に、ついにカカシも笑ってしまった。 カカシが泊まる予定だった部屋にガイが通され、その隣の部屋には案内された。 どうやらカカシも先ほど来たらしく、せっかくだから夕飯の時間まで一緒に温泉に行くこととなった。 「っあーーーきもちいーー・・・」 任務・・・というより移動でかいた汗を洗い流し、ざぶんと肩まで温泉につかった。 「はあー・・・・」 サワサワと風になびく木の葉の音、そして上半身に感じる夜風が心地いい。 「カカシ!どちらが長く浸かっていられるか勝負だ!」 「遠慮しとく」 隣の男湯から暑苦しい声が聞こえるが、それと同時にカカシの声も聞こえてなんだかうれしい。 今日はカカシももお互い任務に出ていることは知っていた。 それがまさか偶然この宿でカカシと一緒になるなんて。 やっぱり運命を感じる、なんて思っちゃったり。 どうせならわたしもカカシとガイと一緒の部屋がよかったなあ、と少し残念に思いつつ、温泉からあがった。 「はー、気持ちよかった」 お風呂上り女湯ののれんをくぐって外へ出ると、ベンチに座ったカカシとその前で立つガイがすでに待っているのを発見した。 「!」 当たり前だが、二人はいつもの忍服ではなく宿が提供している浴衣を着ていた。 ガイは男らしく首からタオルをかけ、カカシはもはやマスクも額あてもしていない。 二人ともお風呂上がりで暑いのか前をすこし開けていて、そこから覗くごつごつした胸板がの目に飛び込んできた。 しかも色白のカカシの肌はほんのり赤く染まっていて、それがなんとも色っぽい。 そんな光景に思わずドキリと胸が高鳴り、その場で立ち止まってしまった。 「おお、の浴衣姿、似合うじゃないか!」 も同じように浴衣を着ており、髪も一つにまとめてアップにしていた。 ガイのナウいポーズとともに熱い笑顔が向けられ、うれしいやら恥ずかしいやらでえへへと笑みがこぼれた。 「二人も、すごく似合ってる」 ちらっとカカシのことを見てみると、ジッとのことを見つめていてなにか言いたげな表情。 「カカシさん・・・?」 「あ、わかった。七五三だ」 「ひっどーーい!」 さっきまでの胸のときめきはどこへやら、相変わらずのカカシの発言とそれに盛大に笑っているガイに腹が立つ。 「なんでガイも笑うのー!」 「ワッハッハ、言われてみればそう見えるな!」 「さ、部屋戻ろう。きっと夕飯の準備できてるよ」 スッと立ち上がったカカシは、いまだ笑っているガイの背中を押して歩き出した。 「かわいいよ」 カカシはその場から立ち去る間際そっとそう呟いて、いつものようにの頭を撫でてからゆっくりと歩き出した。 「え?・・・・えっ?!」 あまりに突然のことで頭が追い付かなかったが、次第にカーーーと頬が熱くなって真っ赤になっていることがわかった。 「ほら、おいてくよ」 呆然としているにカカシはニヤッといたずらっぽく笑い、そのままガイと一緒に廊下の角に消えてしまった。 「うわーーん!もう一回言ってー!」 こんなのズルすぎる、と叫びたいくらいの気持ちを抑え、パタパタと急いで二人のあとを追ったであった。 Novel TOP >>>2 |