ふと気付けば、カカシはの家の廊下に仰向けで倒されていた。 が馬乗りになるようにカカシの上に跨っている。 「えーっと、ちゃん?」 飲み会からの帰り道、を家へと送り届けカカシはそのまま帰ろうとした。 いられるものなら一緒にいたいが、すでに0時を過ぎている。 騒ぎ疲れたであろうの家にあがりこむのも、無理をさせてしまいそうで申し訳ない。 じゃあね、おやすみ、と口づけて玄関のドアを開けようとしたとき、ぐいっと引っ張られてそのまま押し倒されたのだ。 さっきまで楽しそうにしていたはどこへやら、なんだかむっとした顔でカカシのことを見下ろしている。 「もう、帰っちゃうんですか?」 カカシの疑問の声を無視して、ずるりとカカシの額当てを外しながらが疑問を投げかけた。 「ま、こんな時間だしね。ちゃん、騒ぎ疲れたでしょ」 「・・・いーえ」 は依然むすっとした表情でカカシのベストの留め具を一つ外した。 「それに、今から飲み直すのもキツイんじゃない?」 「いいえ」 また一つ、ぱちんと外した。 「えと・・・どうしたの?」 「べつに・・・」 ぱちん、と最後の留め具を外され、がばっとベストの前を大きく広げられた。 「ちょ、ちゃん?!」 手遊びで留め具を外しているのだろうと思っていたが、まさかベストをはだけさせられるとは。 何事だと、次のの動きに注目する。 「ところで、カカシさんは飲み会、楽しかったですか?」 戸惑うカカシをまたしても無視して、今度はにっこりとほほえんで質問してきた。 「う、うん、楽しかったよ。ちゃんが主役だったからね」 「そうですか」 優しく微笑む表情とは裏腹に、ぐいっとアンダーを捲りあげた。 「ちゃん?!」 さすがに驚いての腕をとるが、むっと睨まれてすぐに手を離した。 それをいいことに、ずるりとベストもアンダーも脱がされてしまった。 抵抗せずに、むしろ脱がせやすいように腕を動かした自分も自分だが、ひやっとした床が直に背中に触れて冷たい。 「わたしも楽しかったですよ。いろんな方とたくさんおしゃべりできましたし、お酒もおいしかったですし」 普通に会話を続けるは、怪しげににっこりと笑ってカカシの露わになった上半身をするすると撫でた。 アルコールで熱くなった体に、の冷たい手が触れてびくっと身体が動いてしまう。 どう考えても様子のおかしいに、戸惑いが隠せない。 「ど、どうした?」 「・・・わからないんですか?」 再びむすっとして、身体を倒してカカシの首元に顔を埋めた。 途端、ピリッとした痛みが走る。 「!」 突然キスマークを付けられた驚きと戸惑いで、なにも言葉が出てこない。 『な、なんだ?!俺なにかしたっけ?!』 つつつっとの頭が降りてきて、鎖骨辺りに再び口づけられる。 再度小さな痛みが走り、色白の肌にぽつぽつと赤い色が染まっていく。 混乱する頭を働かせて飲み会のことを思い出すが、を怒らせるようなことはしていないはずだ。 というより、席も離れていたし、何かやらかしてしまうにもやりようがない。 なんだなんだと思考を巡らせている間にも、からのキスマークの数が増えていく。 「ちゃんと、私のって印つけておかなきゃ・・・」 独り言のようにぽつりと漏らした言葉だが、カカシにとっては耳元で囁かれたようなもの。 やけに艶やかな声に、ぞくりと震える。 はようやく体を起こし、自分のコートを脱ぎ捨てた。 そして着ているシャツのボタンを、1つ1つカカシに見せつけるように外し始めた。 「・・・・」 いつもと違うの妖艶な姿に、ごくりと生唾を飲み込む。 最後のボタンを外し終え、ちらりとシャツの間から膨らみが覗く。 ついいつもの癖で胸の膨らみに手を伸ばしたら、ぱちん、と手をはたかれた。 「だーめ」 くす、と小悪魔的微笑みを向けられて、持ち上げた腕を素直に下ろした。 は膝立ちでカカシに跨ったまま、カカシの上半身だけを起こした。 カカシの頬を愛おしげに撫でて、親指で唇を愛撫した。 「カカシさん、キスしてください」 挑発的にカカシのことを見つめるに、カカシは言うとおり口づけた。 お互いを味わうように、何度も角度をかえて、舌を絡めて深く口づける。 すると、跨っているの腰がカカシの下半身を刺激するように揺らめいた。 それはもちろん自分も刺激を受けていて、しだいにの表情がとろけ始めた。 「ん・・・はぁ・・・」 吐息交じりに、気持ちよさそうにキスを受ける。 の腰に回していた手をシャツの隙間に差し入れて、再びふくらみへと触れようとした。 すると、キスを中断してまたしても腕をとられてしまった。 「だめです、カカシさんには、触らせてあげない」 すっかり陶酔しているの声色に、カカシもどきりと胸がざわめく。 「ふふ。カカシさんたら、もう準備万端ですね」 なおも刺激を与え続けるは、主張しているカカシの自身を感じながら嬉しそうに笑った。 カカシの耳元に顔を寄せ、 「どうしたいですか?」 やけに色っぽい声で囁いた。 そんな声を耳元でささやかれ、我慢できずに口づけた。 「ほしい。がほしいよ」 素直にそう言えば、よく言えました、と言わんばかりには満足そうに微笑んだ。 カカシのズボンのチャックをあけ、窮屈そうにしていた自身を取り出す。 その隙にカカシはのスカートの裾から手を挿し込み、するりとタイツと下着をずり下ろした。 はカカシに抱きつきながらゆっくりと腰を下ろして、張りつめたカカシの自身を挿入した。 「ん・・・・は、あ・・・・」 奥まで到達したが、少し息を乱してカカシに抱きついたまま、まるでその形を記憶するようにすぐには腰を動かさなかった。 カカシにしてみれば、耳元での吐息を聞きながら焦らされているようなもの。 たまらずの腰に手を回した。 いざ動かそうと力を込めた瞬間、その腕をまたしても取られた。 「もう、悪い子ですね」 快感に飲まれた甘い顔と、サディスティックな表情が入り混じった笑みを浮かべて、カカシの肩をとん、と押し倒した。 「きょうは、カカシさんにお仕置き」 「お仕置き?」 「そう。だから、カカシさんの好きなようにはさせてあげません」 カカシを見下ろしながら、思い出したように少し怒りながらそう言った。 その間にも、の蠢く動きにカカシの自身は攻められ続けている。 が少しでも動けば、すぐにその刺激がカカシを襲う。 しかし昇り詰めるには物足りない快感にじれったさを感じる。 今すぐにでも動き出して、のことを突き上げたい。 快感を求めて頭がおかしくなりそうな状況に、何のお仕置きなのかを考える余裕がない。 なのにはそんなカカシを満足そうに見下ろすばかり。 わざと中に力を入れて、カカシを中途半端に快感の波へ誘う。 「はあ、ちゃん・・・」 苦しくて、頭がおかしくなりそうでたまらず名前を呼ぶ。 「なんですか?」 分からないふりをして、少しだけ腰を揺らめかす。 「ッ・・・・は・・・・」 たったそれだけでカカシは吐息が漏れる。 自分の思うとおりに動かせない拘束と、急に与えられる快感のせめぎ合いに、今すぐにでもイってしまいそう。 「カカシさんは動いちゃダメですよ」 の言葉は暗示のようにカカシの頭に刻み込まれる。 そんなカカシにあてつけるようにゆっくりと腰を上下させた。 ぎりぎりまで抜いて、また奥へと挿し込む。 ゆっくりとしたピストンが生み出す刺激は、じれったくもあり頭がスパークするような快感で、カカシは眉間にしわを寄せた。 だんだんと大胆になるの動きに、はやくもカカシも限界が近くなってくる。 「はぁ・・・ちゃん、もう・・・」 「まだだめです、わたしがいいって言うまで、カカシさんはイっちゃだめ」 すっかりのペースで翻弄され、カカシの息が乱れる。 「んっ、あぁ、カカシさんっ」 切なげな表情を浮かべながら、カカシの手をとって指を絡めた。 卑猥な音をさせながら動くの甘い声で名前を呼ばれ、ますます余裕がなくなる。 「ふふ、カカシさん苦しそう」 「苦しいよ、頭がおかしくなりそう」 互いの手を握り合い、乱れた呼吸が入り混じる。 は、カカシの快感に耐える表情に堪らなくそそられて、ぞくぞくと背筋が震える。 まるでカカシを支配しているような、独占しているような感覚がを襲う。 「・・・いいですよ、カカシさん。もう、許してあげます」 だから、と言わんばかりにカカシの手を自分の腰に宛がった。 ようやく許しを得ることができて、自分の好きなように動かし始めた。 「あっ、あ、はげしっ、カカシさん、きもちい」 「はぁ・・・イきそ・・・」 「んっ、はあ、あ、イ、く・・・あ、あああっ・・・!!」 「くッ・・・!」 キュウと締まるの動きにつられ、ついにカカシの欲望も果てた。 弛緩したはくったりとカカシの上に倒れこんだ。 はぁ、と乱れた息を互いに耳元で感じつつ、余韻を味わっていた。 「・・・ところでさ」 先に口を開いたのはカカシだった。 ぴったりとカカシに抱きついたままのは、そのままの姿勢で聞いていた。 「何のお仕置きだったの?」 「・・・・」 カカシの言葉にぴくりと反応して、は身体を起こした。 「あ・・・」 起き上がったは、カカシの上半身を見て途端にかあ、と頬を赤くした。 カカシも視線を下ろしてみれば、からつけられたたくさんのキスマーク。 そして思い出すあのセリフ。 『ちゃんと、私のって印つけておかなきゃ・・・』 耳元で囁かれた故に、しっかりと記憶に残っている。 「もしかしてちゃん、嫉妬してくれたの?」 「えとー・・・・」 どうやら図星だったようで、急に目が泳ぎだした。 「俺が飲み会のとき、他のくノ一といたから?」 「・・・・うう〜、そうですよぅ」 ついに観念して、はぺちんとカカシの胸を軽くたたいた。 「私だって、カカシさんの隣でお酒飲みたかったし、ビンゴもしたかったんですう・・・」 堰を切ったかのように、ようやくが白状した。 「だけどカカシさん、楽しそうでしたし・・・でも楽しそうでよかった、とも思ったんですけど、やっぱりなんか・・・」 怒ったり悲しそうな顔をしたりと、表情がころころかわるを仰ぎ見ていると、それに気づいたがムムっと眉をひそめた。 「しかも送り届けたらすぐに帰ろうとするんですもん」 「そっか〜・・・・」 ここでニヤついてたら、またに怒られるかもしれない。 でも、嬉しくてつい頬が緩む。 「な、なに笑ってるんですか!わたしこれでも、怒ってるんですよ!」 「はいはい、じゃあ嫉妬しちゃったことも忘れるくらい・・・」 よいしょ、といまだ繋がっているままのを抱き上げて立ち上がった。 「これからベッドでたくさん愛してあげる」 1<<< Lover TOP Novel TOP |