「あの・・・・最後なのになんかごめんなさい・・・」 「いや、これはこれで楽しいよ」 そんなに広くないキッチン。 ガスコンロの前に大人が二人、肩を寄せ合って肉を焼いては食べていた。 「まさかお皿も全部しまっちゃっていたとは」 「ま、洗い物少なくなっていいじゃない」 視界の端には、ご丁寧に新聞紙に包んだ皿の入った段ボール。 フライパンも中に入れてしまっていたのだが出しやすい場所に入っていたためこれだけは助かった。 「あーあ。最後はもっと美味しいご飯、カカシさんと一緒に食べたかったのに」 「新居で楽しみにしておくよ。はい」 「あつ!!」 「はは」 焼けた肉をへの字にゆがませるの口の中へヒョイと入れた。 取り皿もなく味付けは塩コショウだけ。 割り箸をつかって1つのフライパンを突き合うのはなんだか新鮮で、むしろカカシはこの状況を楽しんでいた。 「ね、きょう泊っていっていい?」 「えっ、あっ、も、もちろん!」 ご機嫌な様子のカカシからのなんだか新鮮な質問に、思わず箸でつかんだ肉がホロリと零れ落ちた。 当たり前のように泊っていくと思っていたが、こうも改めて正面切って言われるとドキリと胸が高まった。 「ほら、焦げるよ」 「カカシさんにあげます!」 「あつ!」 キャー!と一人盛り上がったはつかんだ肉をカカシの口へ突っ込んだ。 焼けるものはすべて焼いて食べたおかげで冷蔵庫の中身もすっきりして、洗い物もすぐに終わって再びフライパンは段ボールの中へ眠った。 今日のうちに片付けられるものは片付けられるほうがいいと、休憩もそこそこに風呂に入り着替えも済ませ、残ったのは最後一日を過ごせるだけのほんのわずかな生活道具だけ。 「あとは最後に着替えとか入れて・・・ふー!これでもうオッケー!」 新居に持っていくソファに座り大きく息をつき、先に座っていたカカシはお疲れさん、と声をかけた。 「お休みの日なのに手伝わせちゃってごめんなさい」 「いや、どうせこうなるだろうなーって思ってたし」 「・・・・んんん」 言い返したいけど言い返せずに、なんとも言えない微妙な唸り声だけがから発せられた。 「あ、そういえばお風呂入ってるときにね、なんとなくアカデミーの校歌とか歌っちゃった!懐かしくない?」 「・・・実は俺も、ずっと頭の中に流れてた」 「あはは、やっぱり!」 まだ自分の気持ちに気付けなかったころ、少しの戸惑いで心が揺さぶられて頭が真っ白になり、アカデミーの校歌が延々と流れていたあの日々。 憧れが好きになった瞬間は今でも覚えている。 「あの時は頑張ったなぁ」 「まぁ主役だったしね」 「ふふ、あのね、実はわたしが頑張ったのはカカシさんに褒められるために頑張ったんです」 「・・・・なにそれ」 「だって、カカシさんに褒められたかったんだもん」 へへ、と笑いながら照れるそぶりもなく言うに対し、初めて聞く事実にカカシの方が照れてしまい思わずドギマギと目が泳ぐ。 さっき話が出ただけにアカデミーの校歌が再び頭の中で大音量で流れが始める。 「あのね、褒めてくれる時とかのね、カカシさんが頭を撫でてくれるのが好き」 そっとカカシの手に触れ、期待したような目でカカシのことを見つめた。 そんな目で見つめられて堪らずぽん、と期待通りに優しく頭を撫でてやった。 「へへ。なんか安心するの」 そういって笑うは、まるで嬉しそうにぶんぶんと振るしっぽが見えるようだった。 そんなを目前にしてついにカカシは耐え切れなくなり、頭の上に置いていた手でを抱き寄せて口づけた。 「!」 「聞いてるこっちが恥ずかしいから」 はクスクスと笑ってカカシのほんのり赤くなった頬に手を添えた。 「恥ずかしがりやさん?」 「もうこれ以上、禁止」 まだいたずらっぽく笑うをぐいっと押し倒せば、きゃあ!と楽しそうな声を上げる様子に思わずカカシも笑ってしまう。 鼻と鼻を寄せ合って、クスクスと幸せそうに笑う愛しい人を目の前にして心の底からこみ上げてくるもの。 それが何なのか、教えてくれたのも目の前の愛しい人で。 「愛してるよ、」 「カカシさん・・・わたしも好き、愛してる」 微笑みを浮かべたまま交わす口づけはあまりにも幸せに満ち溢れていて、何度も何度も口づけてはやさしく頭を撫でた。 はカカシの背中に回していた手でスルスルと服をたくし上げていき、口づけの合間にカカシの服を脱がせた。 カカシも同じようにの服を脱がせ、滑らかな肌を味わうように大きな手のひらで身体を撫でた。 「ん・・・ふふ、くすぐったい」 唇を開放して、身体をよじらせるの胸元に顔をうずめた。 の香りを目一杯味わい、柔らかな膨らみにきつく口づければ色白の肌に赤い印が よく映える。 背中に手を回して胸を覆う下着のホックを器用に外し、露わになった膨らみを手で包み込んだ。 「なんか・・・ふっ」 「え?な、なに?」 胸元を見て小さく笑ったカカシに、急に恥ずかしくなったは慌てて前を隠すように腕を動かした。 が、それを両手で制されてしまい顔だけが真っ赤になる。 「や、な、なに、カカシさん」 「なんか、大きくなった?」 「えっ、えぇ?」 そう言ってカカシは両方の手で膨らみを包み込み、まるで見せびらかすようにゆっくりと手を動かした。 「ほら、なんか・・・ね?」 「いや分からないですよぉ・・・」 クスクス笑いながら手を動かすカカシにはただ顔を真っ赤にして、どうしようもできずに手で顔を隠すことしかできなかった。 カカシの手のひらに当たるツンととがった先端を指でつまみ、擦るように指先を動かせばビクリと身体を震わせる。 「感度も相変わらずで」 「・・・おかげさまで」 真っ赤な顔をしてむぅ、とむくれた表情を浮かべるに「誰のおかげかねぇ」と笑いながら口づけた。 片方の手で胸を弄びながら、もう片方の手はするすると下へ伸びていきズボンを脱がしてソファの下へ落とした。 下着の上から指を這わせばそこはすでに熱を持っていて、指先で少しの刺激を与えただけでの口から甘い声が漏れ始めた。 「カ、カシさん・・・」 「んー?」 どこか期待を込めた目でカカシのことを見つめるにあえて気づかないふりをして、にとっては物足りないようななんとも微妙な快楽を与え続けた。 「んっ、もう・・・」 は両手を伸ばしてカカシに抱き着き、そのままカカシの首筋に口づけ、ひたりと舌を這わせた。 「いじわるしないで・・・」 カカシの耳元で甘ったるく囁いたに単純にもゾクリと奮い立たされ、こちらを上目遣い気味に見つめるにかぶりつくように口づけた。 その合間にもさっさと下着も脱がせてしまい、すでに甘い蜜を溢れさせているそこへようやく指を挿し入れた。 「あ、んぁっ・・・!」 ビクリと身体を震わせた瞬間に合わせていた口が離れてしまったものの、執拗に再び口づけ舌同士を絡ませた。 中に挿し入れた指を何度も出し入れし、奥からあふれてくる蜜がかき回されていやらしい音が部屋に響く。 「ひあっ・・・あッ!ダメ、イっちゃう・・・!」 「早いね。いいよ、イかせてあげる」 「ダメッ・・・!あっ、カカシさ、んっ、イく・・・!」 のいいところを十分に攻め立てればあっと言う間に達してしまったは、とろけた表情をうかべて荒い呼吸を繰り返した。 「気持ちよかった?」 「ん・・・」 ニヤッと笑ったカカシの言葉には素直に頷き、ゆっくりと体を起こしてカカシをソファに座らせた。 座ったカカシの足の上にまたがったはおぼつかない手でズボンのチャックを下ろし、先ほど自分がされたように下着の上から昂りを見せるそこに手を宛がった。 「俺にも意地悪するの?」 「ふふ、どうしようかな」 至近距離で顔を合わせながら、の小さい手が動くたびにひくりと表情が歪むカカシを見てもドキドキと体を熱くさせていた。 先にの方が堪えきれなくなり、下着をずらして直接熱くそそり立ったものを手に取り、包み込むように握った手を上下に動かした。 「はぁ・・・・」 気持ちよさそうな吐息を漏らすカカシにが口づけ、まるで先ほどの流れをなぞるように舌を絡ませた。 最初こそはが優勢的に攻めていたものの、カカシの大きな手がの頭や頬を撫で、指先が首筋をなぞられてゾクゾクと背筋が震えてしまう。 「あー・・・これ、ダメ」 「ん?」 口を離したカカシは珍しく呼吸を荒げ、の肩をつかんで身体を離した。 「気持ちよすぎるから、ダメ」 「えー、じゃあいいじゃないですかぁ」 「ダメ。のくせに生意気」 そう言っての腰に手を宛がい、そそり立った自身をの脚の付け根に擦りつけるようにぐいっと動かした。 「あッ・・・!」 「早く挿れたい」 ピクリと反応を示すを見つめながら呟くと、みるみるうちに耳まで赤くしてうるんだ瞳でカカシのことを睨みつけた。 「カカシさん・・・・ずるいです」 自ら身体を動かし、カカシの自身に片手を添えるようにしてゆっくりとその上に腰を落とした。 「んっ・・・はぁ、あ・・・!」 カカシの目の前でが気持ちよさそうな表情を浮かべ、ずぶずぶと奥深くまで入り込んでいく感覚、艶めかしく締め付けてくる刺激にゾクゾクと背筋が震える。 天上を仰ぎ見るの首筋に残る赤い印が余計に官能的で、ただ挿入しただけで達してしまいそうになるほどの快楽に襲われた。 じっとしているのが耐え切れず、思わずの腰を掴んだ瞬間、の手がカカシの腕をつかんだ。 「だめ、カカシさんは動いちゃダメ」 「え?」 「わたしがいいよって言うまで、動いちゃダメです」 「・・・・・」 快楽に溺れながらもニヤリと妖しく笑みを浮かべたにゴクリと生唾を飲み込んだ。 そしてはその言葉通りゆっくりと自分で腰を動かし始め、さらにカカシの首に手を回して引き寄せたのち、さらなる快楽を呼び起こすかのようにねっとりと唇を合わせた。 「ん・・・・はぁ・・・ッ」 口づけを交わしながらも絶えずの腰は動いていて、予測のできない動きと自分の思い通りにならないジレンマも合わさり、少しでも気を緩めたらいつでも絶頂を迎えてしまいそうだった。 「カカシさん、気持ちいい・・・はぁ、あ・・・」 「・・・、もういいでしょ?」 「ダメ、まだダメです」 そう言って見せつける様に腰を動かすはすっかり恍惚の表情を浮かべ、夢中になって自分のいいように動き続けるも、ついに堪えきれなくなったカカシは背もたれにもたれていた上半身を起こしての耳元に口を寄せた。 「意地悪しないで・・・」 そう囁いたのち優しく口づけながらの背中を抱き上げ、挿入したままソファの上に寝かせるように体勢を変えた。 その上から覆いかぶさり、指と指を絡ませるように両手を繋いだ。 それでもの言葉に従順で、手を繋いてキスをしてもまだ体を動かさず、熱いまなざしを口づけの最中に交わすだけだった。 「カカシさんこそ・・・いじわる」 「俺は忠実に守ってるけど?」 と言いつつも、ずずっと中を擦るようにほんの少しだけ腰を押し付けた。 「んっ・・・!カ、カシさ・・・」 「が止めてって言うなら止めるよ」 少しずつ動きも大きくしていって、ゆっくりと奥まで挿し込み、そしてゆっくりと抜く。その繰り返し。 「はぁ、あ・・・、ダ、メ・・・、カカシさん・・・」 「止める?」 「や・・・あ、ダメ・・・」 「どっち?」 ギリギリまで抜いた自身を、ずんっと奥深くまで埋め込んだ。 「ひあっ・・・!!あ、止めないで・・・お願い、カカシさん」 今にも泣きだしそうなに返事の代わりに軽く口づけ、さっきとは比べ物にならないような思い切り快楽を引きずり起こすように腰を動かした。 「あっ、あ、気持ちいい、カカシさん・・・!」 「俺も・・・」 さっきまでのじれったい動きも、思いのままに得られなかった快感も、そのなにもかもが蓄積されて倍になった感覚に限界の近さを思い知らされる。 頭が真っ白になるような快楽に堪らず酔いしれて、自分の腕の中で同じように気持ちよさそうに声を上げてよがり続けるに魅了されていく。 「カカシさん」 「」 互いに名前を呼び、何度も口づけて、絡ませた指先からも快楽が生まれてくる。 まるでこのまま二人が溶け込んで一緒になってしまうのではないかと思うくらい。 「好き、カカシさん、好き・・・」 うわごとのように呟くに応えるように口づけ、二人は愛を感じ合いながら絶頂を迎えた。 そんなに広くもないソファの上、ぴったりと寄り添うようにして抱き合っている二人は互いの鼓動を感じながらまどろみの中にいた。 「この家もこれで最後かぁ」 「思い残すことはない?」 「うん。ちょっと寂しいけど、それ以上にこれからが楽しみだから」 ぼーっと段ボールが山積みの部屋を眺めながら、ふと思い立ってカカシに尋ねた。 「カカシさんが言ってた最後の思い出って、これ?」 「の言いなりになってあげたじゃない」 「・・・・うーん?」 そう言われて思い返すも、言いなりになってくれたのは1回くらいで、それからは結局カカシの思うようにされてしまった気がする。 「ま、が俺を言いなりにさせるのはまだまだ早すぎってことよ」 「なにそれー!また子ども扱いしてるでしょ!」 「はいはい、また今度ね」 「もー!」 クスクス笑うカカシにつられても笑みがこぼれてしまった。 その後、ソファに残っていたカカシの髪の毛を見つけたが思い出ボックスに入れようとするところをカカシが発見し「やめなさい」と一喝されたのが最後の思い出となった。 Drama TOP 1<<< |