薄暗い明星の空に濁った鳥の鳴き声が響く。 深い森の中、体力も精神力もギリギリの状態で大木の裏で息を殺して敵の出方を伺っていた。 「ハァ・・・ハァ・・・」 任務を共にしているくノ一もすでに意識は朦朧としていて、なんとか気力を絞り出して立っている状態だろう。 「チッ・・・」 一晩中かかってまだ殲滅できないなんて鬱陶しくて仕方がない。 応援を呼んではいるがかなり僻地にいるもので、来るまでにこちらの体力が持つかどうかも分からない。 それも合わさって余計に鬱憤が溜まっていく。 みるみるうちに太陽が上がってきて、暗闇に光が挿し込みようやく視界がはっきりとしてくる。 こちらの背後から太陽が昇るということは、敵陣にとっては逆光になる。 視界を奪える間に敵襲をかけ一気に畳み込めれば完璧だ。 「行くよ」 「ハイ」 カカシの言葉に再び目の鋭さを取り戻したくノ一はいつでも飛び出せるように姿勢を低くし、カカシの合図を待った。 「・・・・・」 嗅覚と聴覚を駆使し、敵の様子を伺ったのちに指で合図を出した。 バッと飛び出した二人は、同じように疲弊している敵に奇襲をかけ、大きくクナイを振りかざした。 「アッ・・・!くそっ!!」 こちらは二人、向こうは五人と人数は合わないものの、カカシの作戦通り逆光で目をやられている様子に遠慮なく刃を向けた。 「残り三人!援護頼む!」 「ハイ!」 チャクラの限界を感じつつ写輪眼を駆使し、くノ一の遠方攻撃によって集められた三人に向かっていった。 「雷切!」 バチバチと派手な音を立てて三人の身体を貫通させると、呻き声をあげた男たちは地面に倒れ込んだのちピクリとも動かなくなった。 「ハア・・・ハア・・・」 息を切らしたまま倒れた敵を眺めていた。 少しでも気を抜けば倒れてしまいそうだ。 応援はまだか、せめて気配でも感じられれば。 と、若干の焦燥感を感じた途端、ドサリと後ろでくノ一が倒れた音がした。 「チッ・・・」 無意識のうちに舌打ちをした瞬間にようやく応援の忍たちが到着した。 「遅いよ」 最後まで悪態をついて、カカシも意識を失った。 案の定病院に運ばれたのち、数日で退院。 報告書を提出しようと受付に向かったが、すでに処理済とのこと。 ツーマンセルで一緒だったくノ一が提出してくれたのだろう。 そういえば気絶したあと見かけていないが無事だっただろうか。 「ま、いいか」 任務は無事に終わって、しかも報告書も提出できるくらい元気なのだろう。 受付で言い渡された『本日は待機でお願いします』という命に従って、待機所へ向かうべくノロノロと廊下を歩いていた。 「あ、あの!」 「・・・・」 「あの、カカシ上忍!」 「あ、おれ?」 後ろから呼ばれてようやく振り向いた。 「あぁ、キミは・・・」 「この前、任務ご一緒させていただいたです」 少し緊張しているかのように胸の前で手を握りしめてカカシを見上げる姿は、あの任務中に見せたボロボロの格好とは似ても似つかないほど生命力にあふれていて、なにより可愛らしかった。 さすがに、こんな可愛かったんだね、なんてデリカシーの欠片もない発言をするわけにもいかず、片手を上げて「あの時はどうもね」と踵を返そうとした。 「あ、待、カカシ上忍、あの!」 「・・・なに?」 もじもじと必死に声をあげるに少しイラつきを感じながら再び振り返ると、顔を真っ赤にしてカカシのベストの裾に手を伸ばした。 「あの・・・すごくかっこよかったです、カカシ上忍」 「・・・・・」 「わたしは最後まで立ててられなかったのですが、最後に見たカカシ上忍が、忍としても、その・・・男の人としてもかっこよくて」 チラリとこちらを見る瞳は、あの時に救われた朝日のようにキラキラと眩しくてため息が出るようだった。 「今日、任務?」 「え?あ、いえ、待機ですが」 「そ」 困惑気味なを前に、その眩しさにやられた目は暗闇を映した。 「・・・・家、くる?」 「んっ、あっ!あぁ・・・!」 さっきまでの眩しくて可愛らしい表情から一変して、目の前には快楽にまみれた表情で喘ぐ。 簡単に家についてくるなんてどうなのだろうか、それ以前に簡単にまぐわっている自分自身にうんざりする。 「好き・・・、カカシ上忍、好き・・・!」 それでもこんなことを言われて嫌な気持ちはしない。 目の前でよがる姿と、この前の任務中に見せたボロボロの姿が重なる。 「・・・・フッ」 あんなに体力も気力もそぎ落とされて、魂のみで動いていたような二人が今では身体を交わらせているなんて、こんな状況、笑わずにいられるだろうか。 ───「・・・・家、くる?」 カカシの言葉に最初は目を丸くして驚いていたものの、断ることもなくもじもじとカカシの後をついてきた。 玄関のドアを開け、中に入った途端にドンっとドアに押し倒した。 「!」 「簡単についてきたね」 「あ・・・あの・・・」 途端に顔を青ざめさせたをさらに追い詰めるように、顔のすぐ横に腕を立て自分の体とドアの狭い空間で挟み込んだ。 「あの、わ、わたし・・・帰・・・」 そう言いつつもカカシのことから目を離さずに動かないに、マスクをしたまま口づけた。 「!」 「マスクの下、気にならないの?」 「そ、れは・・・!」 薄暗い中でもわかるくらい顔を赤くして目を泳がせる初心な反応にジワリジワリと何かがこみ上げてくる。 先日の任務中でさえ、たとえツーマンセルだったとはいえマスクの下を見せることはなかった。 「手、貸して」 「えっ、あ、あの・・・」 戸惑っているの手をとって自らの頬に宛がい、そのまま顔を撫でる様に誘った。 「あ・・・の・・・」 顔を真っ赤にして上ずった声を上げるの指先で頬、鼻先、そして唇を撫でさせた。 自分の唇の形をなぞらせるように動かしたのち、マスクの淵に指をかけさせた。 「逃げるなら今のうちだよ」 「そん、な・・・・」 呼吸を荒げるは目を大きく見開き、震える指先でカカシの動きに合わせてゆっくりとマスクを下ろさせた。 「あ・・・・・ッ」 完全にマスクを下ろさせたあと、案の定釘付けになっているにニヤリと笑って見せた。 言葉を失っているのベストの前を外し床へと落とすと、さすがにビクリと身体をこわばらせるのを感じた。 「カカ、シ上忍・・・」 「ついてくるってことは、そういうことだって分かってたんでしょ?」 かあ、と顔を赤くして俯くを前に、扉についていた腕を離して背中を向けた。 戸惑うを置いて一人部屋の奥へ向かいベストを脱ぎながらチラリと肩越しにの方を振り向いた。 「どうするの?」 「・・・・」 薄暗い廊下の中、鈍い光を映した二つの瞳が揺れ動いたのがよく見えた。 そこからは堰を切ったかのようにあれよあれよとベッドの上へなだれ込み、一糸まとわぬ姿で絡み合っていた。 「あ、ああッ!いい、気持ちい、カカシ上忍・・・!」 さっきまでの戸惑いはどこへやら、とろけた表情で潤わせた瞳でカカシのことを見つめて 艶めかしい声を上げていた。 想像以上の快楽に突き上げるたびにゾクゾクと背筋が震える。 「あ、あっ!ダメ、イく、カカシじょ、にん・・・ッ!」 「ダメ、我慢して」 「そ、んな・・・!ひぁ、あ、んんッ・・・!」 切なげな表情を浮かべる彼女はそれでもカカシの言うことを従順に聞き、堪えるようにベッドのシーツをぎゅうっと掴んだ。 「いい子だね」 指先で髪の毛をすくように頭を撫で、終わりを目指すようにガツガツと激しく突き上げた。 「あッ・・・!ッ・・・!!」 「はぁ・・・・」 ビリリと下半身から頭の先に電気が走る感覚に頭が真っ白になる。 「カ、カシ上忍!イきたい・・・!イ、かせて」 声にならない声を上げながら涙目で訴えるの頬を包むように撫でて微笑んだ。 「いいよ、」 「ッ!」 名前を呼ばれるなり途端に目を大きく見開いてビクビクと身体を震わせた。 「ん、は、ああッ・・・!!」 「くッ・・・・う・・・・ッ」 まるで搾り取るように蠢く中の動きにゾクゾクと込み上げてきたものを遠慮なく最果てに吐き出した。 「んッ・・・!はあ・・・は、あ・・・」 「ハァ・・・・」 身体を震わせながら射精し、そのあまりもの快楽に頭がおかしくなりそうだった。 「・・・・ハ・・・」 ようやく身体を弛緩させたのち、ズルリとの中から自身を抜き去った。 「ん・・・はぁ・・・」 身体を震わせながら荒い呼吸を繰り返すを尻目に、吐き出した白濁液が先端に溜まったコンドームを自身から抜き、バチンと根元を縛ってゴミ箱へ捨てた。 「・・・・・・」 暴走した熱を放出した後の独特な感情に気まずさを覚え、ベッドに横たわっているの方を見れず、そこらに放ってあった下着とズボンを身に着けそのままキッチンに向かった。 冷蔵庫の中に入っているペットボトルを取り出して無言のまま一口飲んだ。 「・・・・・・」 キッチン越しにベッドの方へ視線を向けると、上半身を起こしたが乱れた髪の毛を整えつつ同じように気まずそうに視線を下方へ向けていた。 「飲む?」 「・・・・え?あ・・・ハイ」 飲みかけのペットボトルを持ってベッドのほうへ戻り、ハイ、と手渡しながらベッドの端へ腰かけた。 「あ、ありがとうございます」 大事そうに両手で受け取り、すぐに飲むこともせずモジモジとペットボトルの飲み口を見つめていた。 「毒なんか入ってないよ」 「えっ!あ、いえ!そういうのじゃなくて!」 「?」 さっきまであれだけ声を上げていたというのにまたしてもモジモジする様子に若干のイラつきを覚える。 「だって・・・これ、カカシ上忍が口付けられたから・・・その・・・」 「・・・・・え、あ、なに、間接キスになるってこと?」 「〜〜〜〜」 顔を真っ赤にして必死にコクコクと頷くに思わずポカンと間抜け面で呆れてしまった。 「あんたねぇ、さっきまで間接キス以上のことしてたの分かってる?」 「わ、わかってますけど!で、でも、だって・・・」 ギュッと握るものだから中に入っているミネラルウォーターがあふれ出しそうで、慌てての手を握った。 「ひゃあ!」 「あ!ちょっと!」 手の力を緩めるどころか、驚いたがビクッと動いてビシャッと零れた水がシーツを大きく濡らした。 「あーあー・・・」 「ご、ごめんなさい!!」 「・・・フッ」 途端に青ざめた表情を浮かべるに思わず笑ってしまい、いまだ握っているペットボトルを奪い取ってベッドのヘッドボードへ置いた。 「カ、カシ上、忍?」 不思議そうな顔をしているをベッドに押し倒し、首元に顔を埋めてきつく口づけた。 「・・・ッ!」 「まだ時間あるでしょ?」 ハッと短く息を吸ったの返事も待たず、ズボンのジッパーを下ろした。 >>>2 Request |