眼下で意識を失っている女の姿に、暗部面の奥からやけに冷めた目を向けていた。 ここの倉庫は里のはずれの、誰も来ないようなところに位置する。 だから風がそよげば木の葉が揺れる音がして、夜が更ければ獣の声が聞こえる。 神経をとがらせているぶん、なんだか余計に耳障り。 オーバーヒートした頭を冷やすように、任務で支給された水を一口飲んだ。 このままなにもしないで帰ってもいい。 彼女が目を覚ますまで待っていてもいい。 なにをしてもいい。 だって彼女をさらってきたのだから。 「・・・・・」 面の下で自分が笑っていることに気が付いた。 そしてその事実に驚いた。 こんな猟奇的な状況で、笑みがこぼれるのか。 適当に積まれた荷物の上に座りながら、再び地面に乱雑に横たわった女を一瞥する。 ひょい、と地面へ降りて女の前に立って見下ろした。 自分でさらってきたくせに、ふとした瞬間にその違和感に襲われる。 なにをしているんだ。 どうしてこんなところに女が横たわっているんだ。 行動に起こしてしまった背徳感が、恐怖を呼ぶ。 えも言われぬ恐れから逃れるために、手にしていた水筒を女の上へと掲げる。 特に何も思わないまま、その水筒を傾かせて大量の水を女へとぶちまけた。 「ッ!うっ・・・げほっ!げほげほ!!」 途端に目を覚まし、激しくせき込む彼女。 無理もない。 一般の女性の鳩尾に遠慮なく拳を入れて気絶させたのだから。 息を乱しながらも目をカカシへと向けた。 その目は戸惑いと恐怖に染まっていた。 「やぁ、おはよう。具合はどう?」 カカシの問いかけにも答えずに、女はぐったりと上半身だけを起こしてカカシを見つめたのち、辺りを見渡した。 「ここは・・・それにあなたは・・・?」 彼女から発せられた声は、さっきのカカシの言葉によって緩和されたのか、恐怖の色は見えなかった。 「バカだねぇ。いま自分がどういう状況にいるのか気にならないんだ」 「・・・え?」 さっきと違う、と言いたげな顔にどんどん血の気がなくなっていく。 「こんなところに閉じ込められて、男と二人っきり。どう?わかってきた?」 「ど、どういうこと・・・」 途端に恐怖に満ちた目でカカシを見つめたまま、服が汚れるのも構わずにずるずると距離を取った。 怯える彼女とは反対に、カカシは歪んだ微笑みを浮かべていた。 「わからないなら、教えてあげるよ」 一歩足を踏み出せば、簡単に距離は詰められた。 「や、やめて!来ないで!!」 「はは、いいねその反応」 このまま楽しく追いかけっこしているわけにもいかず、瞬身で彼女の背後へとまわった。 カカシの姿を目で追えていない女の両腕をつかみ、背中側にまわしてワイヤーで縛り、両足首もまとめて縛り上げた。 「!」 気付いた時には、なんて言葉がぴったりだ。 「名前は?」 「・・・・」 カカシの問いかけに、今度は鋭いまなざしを向けたまま口を開かなかった。 両手両足を縛り上げられて、なお強気の姿勢を見せる彼女にカカシは気分がよくなる。 「お前の質問に一つだけ答えてやるよ。俺はカカシ。はたけカカシだ」 ひょい、と近くにあった女の所持品を拾い、断りもいれずに中を探り、財布を取り出した。 ぱらぱらとカードを探る。 「ね。ふーん、アパートってことは一人暮らしか」 「・・・・」 「じゃあ、なおさら都合がいい」 ぽい、と適当に放り、いまだ睨みを利かせるの前へと立ちふさがった。 視線を合わせるようにしゃがめば、一瞬だけ彼女の眼光が恐怖で揺らいだ。 「よくもまぁ、まだそんな顔ができるねぇ」 「バカにしないで!」 心底腹が立ったのか、はたまた威勢なのか。 カカシの暗部面に向かっては唾を吐いた。 「・・・・・」 声を張り上げたせいでの息が上がっている。 なんだかおもしろくない。 面を外して地面へと投げつけた。 その音にすらビクついて肩を震わせているというのに。 少し殺意を混ぜた視線でを見下ろせば、それだけで怯み、おびえた表情を浮かべた。 しかしすぐに、面を外したカカシを睨みつけた。 威勢を張るその姿をどうにかして崩したい。 手中に収めたい。 その目を絶望の色で染めたい。 の首元に腕を伸ばして、その細い首に指を這わせた。 「・・・ッ」 指が触れた瞬間、は悲鳴を我慢するように小さく息を吸った。 簡単に折れてしまいそうな細い首から、服の襟首へと指をかけた。 さっき水をかけたせいで水けを帯びた衣服は、ぐいっと力任せに引っ張れば簡単に破けた。 「!!」 派手な音を立てて服の前は破れ、隙間から下着が覗いた 「ふうん、可愛いもん付けてるじゃない。もしかして、こうされるの想定してた?」 「バカじゃないの、いい加減にして!!」 声を荒げるを無視して、可愛らしい装飾がされた下着の上から乱暴に膨らみへと手をかけた。 「いやっ!はなして!」 両手両足を縛られて身動きが取れない中、どうにか身をよじってカカシの手を自分から離そうとした。 そんなのもお構いなしに好きなように弄び、の嫌がる姿を楽しんだ。 「ほらほら、もっと嫌がらないと」 しだいに動きが鈍くなるへ言葉をかければ、再び力をもってカカシを強く睨みつけた。 「なによ、なんなのよ・・・!その汚い手で触らないで!!」 強く睨まれて、ついカカシの手が止まった。 『汚い手・・・ね』 ようやく手を離したカカシに対して、なぜかは睨むどころか気まずさから目を伏せた。 その中途半端な優しさが、己の身を滅ぼすというのに。 暗殺を繰り返して汚れてしまったのは手だけではない。 心も、身体も、すべてに染み付くように穢れてしまったのだ。 から逃れるように立ち上がった。 「・・・その口はよく動くな」 ガッとの髪を乱暴につかみ、上を向かせるように引っ張り上げた。 「うっ・・・!」 「そんなに動くなら、気持ちよくしてくれそうだね」 カカシの言葉に察したのか、は口を強く閉じた。 「ま、無理やり顎の骨を外してやってもいいんだけど」 つう、と顎を撫でると、びくりと肩を震わせた。 「ほら、口あけて」 そう言って素直に開ける相手ではない。 さっきまでの威勢はどこへやら、怯えた表情で頑なに口を閉じていた。 髪の毛を鷲掴みにしたまま、もう片方の手でズボンの前を開け、チャックを下ろした。 やけに静かな倉庫に、カチャカチャと金具がうるさく響く。 ずるりと萎えたそれを取り出し、恐怖で震えているの口元へと寄せた。 髪をつかまれているのにもかかわらず、それから逃れようと顔を必死に背ける。 髪を再び強く引っ張り正面を向かせると、髪から手を離し突然ぎゅうっと鼻をつまんだ。 「っ!!んぐっ・・・!」 反射的に開けた口に、無理やり自身を突っ込んだ。 「歯、立てたらわかってるね?」 口にくわえたまま、ぎろりとカカシを睨むが、少し脅しをかければ途端に恐怖の色を混ぜる。 あぁこの感じ、たまらない。 あんなにも拒絶していたのに、最終的には恐怖に屈してしまうのだ。 誰もが尊敬するはたけカカシはここにはいない。 過度な期待を寄せられて窮屈になったはたけカカシはいない。 ここだけが、本当の俺の世界。 「さっさと舌でも動かしたらどう?」 冷たく言い放てば、ようやく観念したのか、おずおずと口を動かし始めた。 ほんの少しの刺激なのに、すぐに下半身に血液が集まってしまいそう。 でもそれじゃあ面白くない。 「下手だねぇ。彼氏とかいなかったの?」 冷徹な言葉を落とせば、必ず恐怖と呪詛が混じった視線を飛ばしてくる。 ぞくりと背筋が震えた。 あぁ、いいよ。 その目、たまんない。 もっと刺激がほしくなって、頭に手をかけた。 ぐい、と腰を突き上げれば、は目をつぶって小さな悲鳴をくぐもらせた。 「ぜんぜん足らない」 頭を前後にゆすり、物理的にしごかせた。 「んぐっ!うぇ、うっ」 苦しそうな悲鳴が自身に響き、なおさら刺激を倍増させる。 「どう?自分でできそう?」 頭を揺さぶりながらそう尋ねれば、小さく何度もうなずいた。 一度動きを止めて、口から抜く。 「う、げほっ・・・げほげほっ!」 途端に苦しそうにせき込み、涙を浮かべていた。 「ほら、自分でやるんだろ?もう一度教えてやろうか?」 再び自身を差し出せば、大粒の涙を流しながらも口を自主的に開いた。 カカシがやったみたいに大きな動きではないが、ようやく満足できそうな動きを見せた。 「やればできるじゃない」 必死になっている頭を撫でてやれば、再びカカシを睨みつけた。 そう、そうだよ。 簡単に堕ちちゃダメだ。 もっと怯えて、もっと恐怖に支配されていて。 睨みつけるその目に微笑みを返し、ぐいっと腰を入れ込んだ。 「んぐっ!」 「口でイかせられたら、今日は挿れないであげる」 「!?」 「かわいそうだから手伝ってやるよ」 さっきよりは控えめに、頭をつかんで揺さぶる。 も必死になってその動きに合わせて自主的に動く。 そんなにも挿れられたくないもんかねぇ、なんて思いつつも、確実に攻めたてられるその刺激は、昇り詰めるには十分だった。 さっさとイってしまえば、どちらも楽なのに。 奥歯を噛みしめてまで我慢している自分に嘲笑してしまう。 必死に口と頭を動かすから、自身を抜いた。 「残念、時間切れ」 すっかり勃起したそれを目の前に言うのは少しずれているが、仕方がない。 もっと絶望した表情を見たくなったのだから。 「ぃ、いや・・・!!まって、もう少しだけ!」 あれだけ拒絶した相手を気持ちよくさせるためにもう少し、と言うセリフもなんだかおかしいものだ。 「時間切れって言ってるでしょ」 怯えるの上に覆いかぶさり、逃げようとする動きを制止させる。 涙を浮かばせて、拒絶するように頭を振るを見つめながら、するりと脚を撫でた。 「ッ・・・」 タイツもストッキングも履いていない生脚は、さんざん倉庫の床にこすり付けたせいで汚れていた。 スカートも同様に土まみれで、邪魔になった衣服はさっさと切り捨ててしまった。 足を縛りつけているワイヤーを外し、ぐいっと両足を開かせる。 どんなに抵抗しようとも、カカシの力に勝てるわけがない。 「いや!!いや・・・やめてください・・・」 はらはらと涙を流しながら懇願する姿に、同情するどころか最高の興奮を覚えた。 「案外、はまるかもよ」 無情にも、たいして濡れていないそこへ自身をねじ込んだ。 「ぅあ・・・!!」 「キツ・・・・」 何度か無理やり動かせば、生理的に分泌されたものでようやく動きが滑らかになってきた。 「やだ・・・抜いて・・・!」 「なーんだ。処女じゃないの」 涙を流すに、なおも残酷な言葉をかける。 もはや睨み返す余裕もないのか、なんとか抜こうと身をよじる。 「挿れたことには変わりないんだから、楽しんだらどう?」 「ふざけないで!もうやだ、やだ・・・抜いて・・・」 ゆさゆさと揺さぶれば、泣き顔だったの顔が少しずつ切なげに歪んでいった。 しだいに静かな倉庫に水音が響き始め、は声を我慢するように目を閉じ、唇を強くかみしめていた。 それに気が付いたカカシはニヤリと冷たく笑った。 「知らない男にレイプされて、感じてるんだ」 すぐに快感に堕ちてはいけない。 最後の最後まで抵抗して、ようやく堕ちていい。 「そんな淫乱なら、俺に捕まって幸せだね」 威力の落ちた睨みに、少しだけ物足りなさを感じる。 「ねぇ、どこに出してほしい?選ばせてあげる」 思った通り、は顔を青くして震わせた声を上げた。 「そ、そとに・・・!」 「あぁ、そう。おなか?顔?それとも口?」 「おなか・・・せめておなかに出して・・・」 揺さぶられながら涙を流す姿に、ぞくりと背筋が震える。 「はやく終わらせて・・・」 悲鳴に近い、小さな声がますますカカシを扇情させる。 「じゃあさ、さっさとイかせたいなら声だしてよ」 「・・・・」 声を我慢するようにきゅっと結ばれた唇。 最後の意地でも見せるのか、開かれるそぶりも見せない。 「ま、いいけどね」 かたく閉じられた唇へ、口づけを落とした。 「!!」 突然の出来事に、目を見開いて顔を背けようとする。 逃げ回る頭を抑え、無理やり舌を絡ませた。 相変わらず腰は動いたままで、強制的に開かせた口からはようやくの吐息が漏れた。 「んっ・・・ふ、あ・・・はあ・・・」 結合部分や、舌を絡ませている部分から卑猥な音が響き渡る。 口をはなせば、もはやその口は閉じられることはなく、抑え目な声が漏れだした。 「あ、んっ・・・はあ・・・」 の声に調子に乗って、好きなように腰を動かした。 「やっ、あ、やだっ、だめ!」 「はぁ・・・イきそ・・・」 「いやっ、そとに、おなかに、おなかにだして」 強く激しく動くカカシに翻弄されながらも、必死にかぶりを振って耐える。 「く・・・出すぞ・・・ッ!!」 「いや!!うそ、いやっ、抜いて!!!」 顔を青くして暴れるの腰をつかみ、どくん、と中に挿れたまま、奥へと欲望を吐き出した。 「ッ・・・はあ・・・」 ずるりと萎えた自身を抜くと、どろりと白濁した液体が溢れ出るのが見えた。 大粒の涙を流しながら放心状態のをそのままに、自分はさっさと身支度を整えた。 欲望を吐き出した頭で、この状況に耐えきれない。 後悔や恐れを感じる前に、さっさと逃げるように立ち上がった。 ポーチから兵糧丸の袋を取り出し、ぐったりと横たわるの傍らに置いた。 「今日はこれしかないけど。ま、食欲もなさそうだし心配いらないか」 相変わらず虚空を見つめているにマントをかけてやる。 着ていたものはほとんど切り裂いてしまい、代用品も持ち合わせていないため暗部で支給されたものを使用した。 「シャワー室もトイレもある。今度おれが来るまでに身体綺麗にしておいて」 ようやく虚ろな目をカカシに向け、なにかをぽつりとつぶやいた。 「はは、なんとでも言いなよ。どうせここは俺とお前だけの世界だからね」 マントを強く握りしめて、身体を震わせながら再びカカシから目をそらした。 「じゃあ、またね」 瞬身で倉庫をあとにした。 扉はもちろん、格子が付いた窓はしっかりと施錠してある。 まるで大きな檻に閉じ込めたようなものだ。 この状況を楽しむために、せっかく見つけ出した倉庫なのだ。 簡単には脱出することはできないだろう。 倉庫を出てからマスクの下で笑みを浮かべているのに気が付いた。 『最低・・・』 さっきぽつりと呟いたの言葉が耳にこびりついている。 俺が最低ならば、同じところまで堕としてやろう。 もうここは外の世界。 『はたけカカシ』にならなくてはいけない。 いつもはすぐに取り繕えられるのに、どうやら思っている以上に興奮しているようだ。 暗部面を置いてきてしまったことを後悔した。 明日が来るのが楽しみだ。 そんなことを感じるのはいつぶりだろう。 Under TOP >>>2 Novel TOP |