ケーキも食べて美味しい紅茶も飲んで、お腹も心もいっぱいになった二人はどこか出かけるわけでもなく、再びソファに並んでまったりと過ごしていた。
時々こそっと他愛もない話をして、静かな部屋の中でクスクスと二人っきりの笑い声が溢れた。

「紅茶、おかわりいる?」
「ううん、もうお腹いっぱい!この紅茶もすごく美味しかった」

の空になったマグカップも受け取ったカカシはソファから立ち上がった。

「それはよかった。そのケーキ屋推奨の紅茶なんだって」
「え?!ちょちょ、なんでカカシがそれを?!」

台所に向かいながらなんともないように言うカカシの発言に思わず食いつくも、振り返ったカカシは「ヒミツ」と怪しげに微笑むだけだった。

「いじわる!」
「アハハ、別に秘密にする内容でもないんだけどさ、面白くて」
「きょう誕生日なんですけど」
「ハイハイ」

むー、と膨れるの様子にクスクス笑いながらその隣に座った。

「ごめんごめん、パティシエさんが前に任務でお世話になった人だったんだよ」
「そうなんだ!どんな任務だったの?」
「んー、まだパティシエになる前で、究極のタマゴを見つけたいって任務でさ」

普通の鶏が産むタマゴではなく、
真夏に雪が降る山岳地帯に生息している特別な鶏が産むだの、
七色に光る崖で足を踏み外しそうになっただの、
その時に鈍色に光るタマゴを一個崖の下に落っことしただの、
タマゴを拾ったらそこから水が湧き川となり海となっただの・・・
最初は経験したことのない話で興味津々で聞いていたものの、途中からおかしな方向に進んでいくうちにフフフと笑いがこみ上げてきてしまう。

「・・・で、そのタマゴを使ったケーキってわけ」
「あっはは!なにそれ、初耳!」
「オフレコよ」

シーっと人差し指を立てて笑ったカカシには笑いながらぺしぺしとカカシの膝を叩いた。

「満足した?」
「うん、した」

膝に置かれたの手を握ったカカシはそのまま指を絡ませ、ぎゅっと優しく包み込んだ。

「いつにも増して今日はよく笑うね」
「うん。だって・・・すごく楽しいから」
「おれも楽しい」

ふふっと笑ったカカシの前に、は背もたれから身を乗り出してぐいっと近づいた。

「甘えていい?」
「もちろん。おいで」

がなにをしたいのか分かっているのか、カカシは両手を広げてニコッとほほ笑んだ。
その笑みが嬉しくて、ちょっと照れながらはその腕の中に飛び込むように抱き着いた。

「んーいい抱き心地」
「もっと甘えていいんだけど?」
「え?」

カカシの胸にうずめていた顔を上げると、なにかいいたげにのことを見つめていた。

「・・・あ、わかったかも」

さっきのカカシよろしく、なにを言いたいのか分かったはぐいっと身体を伸ばしてちゅ、と軽く口づけた。

「こういうことでしょ」
「そういうこと」

満足そうに笑みを浮かべるカカシは子供にするようにぽんぽんとリズミカルに背中を撫でた。

「ね、もっとしていい?」

返事を聞く前にカカシの首に両手を伸ばし、より密着した状態で口づけた。
さっきよりも長く甘い口づけをしながらカカシは優しくの頭を何度も撫で、その優しい手つきにドキドキと胸の高まりが止まらない。

カカシの長い指が耳をかすめたときに思わず声が漏れてしまい、それを合図にしたかのようにそろりと舌が差し入れられた。

「ん・・・・」

顔の角度を変え、何度も唇を合わせては舌を絡ませ、気づけばがカカシにのしかかるような体制で口づけていた。

「ね・・・」
「ん・・・?」
のしたいようにしてあげる。言ってごらん」

そう言ってパッと顔を離してしまった。
このまま溶け合ってしまうかのようにキスし続けているのが堪らなく、カカシの方から顔を離されてしまっては名残惜しく物足りない。

「そしたら・・・もっと、キスして」

思うがままを口にすれば、カカシの大きな手が頬と耳を撫で、髪をかきあげた。
それだけでゾクゾクと身体が反応して熱い吐息がこみ上げる。
口角を上げてニヤッと笑ったカカシは「仰せの通りに」なんて仰々しく言ったかと思えば、の頭に添えた手でがっつりと頭を抑えながら再び口づけた。

頭や頬を撫でながら、カカシの上にのしかかっていたを反対にソファに押し倒し、ふとが気付いた時にはソファに仰向けになっていてその上にカカシが覆いかぶさっていた。

「カカシ・・・」
「ん?」

口づけの合間に名前を呼ぶと、やさしい笑みをそっと向け、優しく頭を撫でては愛おしそうに口づけをつづけるカカシにゾクゾクと背筋が震える。

「ん・・・」

気持ちが良くてどんどん頭の中がとろけてくる。
そしてそれに連動するように身体の奥が熱を持ったように疼いてきて堪らない。
が、またしてもカカシの方から顔を離してしまった。

依然、顔は近づけたまま優しく頭を撫でたり髪に触れたり、けれどさっきまでのように口づけてはくれなくて思わずじとっと見つめてしまった。

「どうしてほしい?」
「・・・・分かってるくせに」
「教えてよ」

ニヤッと笑いながらの額や耳元に口づけるカカシ。

「ん・・・カカシ・・・」
「うん」
「気持ちよくして・・・」

の言葉にカカシは口づけで答え、唇の隙間からさし入れられた舌が触れた瞬間、ピクリと肩が反応した。
焦らされてた分、小さな刺激でも十分すぎる刺激になる。

いつの間にか服の間から手が入り込んでいて、スルスルと愛撫するように肌を撫でて確実に熱を上げていく。
背中に回された手が器用に下着のホックを外し、ついにカカシの大きな手が胸のふくらみを包み込んだ。

「んっ・・・!」

優しく揉みしだきながらも指先で先端を摘まんだり、の火照った体をさらに焦らしていく。
ようやく口を離したカカシはそのまま一息つくこともなくの服を脱がせ、さっきまで指先で弄んでいた先端部分に口づけた。

「ひあっ・・・ん!」

ぬるりと舌が這い、もう片方も指先で摘ままれて否が応でもビクビクと身体が震えてしまう。

「や、あ・・・っ、カカシ・・・!」

これ見よがしにの方を見ながら舌を這わせるカカシに、自然と腰が揺らめいてさらなる刺激を求めてしまう。
おそらくカカシもそのことは気づいているのだろうが執拗に舌で攻め続け、何か言いたげな目を向けてもニヤッと笑うだけ。

「カカシ・・・下も・・・触って」

あまりにも耐え切れなくて自分でもわかるくらい甘えた声を上げると、ようやくカカシの手がゆっくりと下半身に伸びていった。
履いていたスカートの隙間から脚を撫で、スルスルと付け根部分へ近づく手のひらの感覚に神経が集中する。

「はぁ・・・」

あつく疼くそこへようやく手が触れた瞬間、熱い吐息が口から洩れた。
下着の上から指先で何度も撫でられ、時折ぐりっと深くまで挿し込まれては甘い声が漏れる。

「気持ちいい?」
「ん・・・うん・・・」
「ほんとに?」

そう意地悪く聞くのも、下着の上からの刺激が物足りないと気付いて言っているのだろう。
確かになにもされてないときに比べれば快楽を感じるが、やはりそれでも求める気持ちは止まらなくて。

「直接・・・触ってほしい・・・」

こちらを見上げたカカシの目を見つめると、同じように興奮した面持ちのカカシはゴクリと生唾を飲み込んだ。
スルリといとも簡単に下着を脱がせ、ソファの下にハラリと落とした。

少し態勢を変え、の表情を眺めるようにしながら十分に熱を持ったそこへ指先が触れた。

「あ・・・ッ」

表面を撫でるような指の動きだけでビクッと肩が震える。
少しずつ、ゆっくりと割れ目の中へ指が埋もれていき、そのじれったい動きに胸の高まりが止まらない。

「カ、カシ・・・」

の声を合図に、ついに奥深くまで挿し入れられた。

「あッ!」

中に挿し入れられた指はぬるりと動かされ、その動きに合わせて堪らず声が出てしまう。
そんなの表情を眺めつつ、指を動かしながら再び胸のふくらみに口づけ舌を這わせた。

「ひぁ・・・!や、それ・・・ダメ・・・!」
「ダメなの?そんな気持ちよさそうな顔して」
「それは・・・・・」
「もっと良くしてあげなきゃね」
「え?」

ニヤッと妖しく笑ったカカシはさっきまでのゆったりとした動きから一変して激しくこするように指の動きを速めた。

「あッ!あっ、や、カ、カシ!」
「ここ、好きでしょ?」
「ッ・・・!」

ある一点を集中的に擦られた瞬間、頭の中に電気が走ったような感覚に陥り、目を白黒させながら声にならない声を上げた。
そんな中カカシは容赦なく指を動かし、堪えきれずに甘い声が溢れだす。

「あッ・・・!あっ、ダメ、あぁっ!」

カカシの肩をぎゅうっとつかみながらビクッと大きく身体を震わせた。

「はあ・・・はぁ・・・」

背中を逸らしソファに押し付けていた身体をくたりと弛緩させた。

「気持ちよかった?」
「うん・・・。でも・・・」
「?」

上に覆いかぶさるカカシの袖をキュッとつかみ、これ以上ない小さな声でぼそぼそと呟き、カカシはその口元に耳を寄せた。

「・・・・・・」
「それ・・・は・・・・!」

の言葉を聞いたカカシはガバッと顔を上げ、カァっと赤くなった頬を隠すように腕で顔を覆った。

「・・・ダメ?」
「そんなの・・・」

歯切れの悪い言い方とガシガシと頭をかく姿を甘えた表情で見つめる

「・・・・・」

その目線から隠れるようにカカシは上に着ていたシャツを脱ぎ捨てた。
とろけた表情で笑うはその様子を眺めつつ、舐めるように目の前の逞しい上半身に目線をなぞらせた。

「・・・なに笑ってるの」
「あれ?わたし笑ってた?」

そんなの頬を撫で、うっすらと笑みを浮かべている唇に口づけた。

「ん・・・・・」

口づけに応えながらカカシの下半身に手を伸ばし、履いているズボンのボタンを不器用に外した。

「そんな焦らないの」
「ふふ」

の手を取ったカカシは逆にスカートのチャックを器用に下げスルスルと脱がしてしまった。

「カカシ・・・・お願い」

カカシの首に腕を回し、指で髪をかきあげるように頭を撫でた。
の甘い声にカカシは態勢を変え、ずり下ろしたズボンから充分に昂りを見せた自身を取り出した。
グッとの脚の間に身体を潜り込ませて、熱く疼いているそこへ宛がいぬるぬると表面を撫でるように動かした。

「ん・・・カカシ・・・」

じれったそうに腰を動かすにカカシも思わずそのまま腰を埋めてしまいそうになるが、あえて先端だけを中に挿れるもののすぐに抜くなど、にしてみればじれったくて仕方がないだろう。

「カカシ・・・・お願い、挿れて」

泣きそうになりながらそう言われてしまえば、もはや焦らされているのはカカシも一緒だった。

「ん、あ・・・あぁ!」
「はァ・・・・」

ゆっくりと奥深くまで挿し込み、その得も言われぬ快楽に思わず理性が吹っ飛びそうになる。

・・・」

ぎゅうっと目を閉じて小さく震えているの頬に触れ、そっと目を開けさせた。

「ちゃんと見てなきゃダメでしょ?」
「そう・・・だけど・・・」

さっきカカシに伝えたことを自分で叶えられそうになく、ニヤッと笑ったカカシがやけにサディスティックに見えてドキリと胸が高鳴った。

のお願いなんだから、ね?」

と言いながらズンと奥を突き、その刺激に自然と目を閉じてしまう

「ほら、そんなんじゃ甘いよ」
「だって・・・あっ、待って、まだ・・・!」

の言葉を待たずに、ゆっくりと腰の律動を始めたカカシにビクッと肩を震わせた。

「ん、あっ、あ!」
「・・・そうだ、見やすいようにしてあげようか?」
「え?な、なに・・・?」

上に覆いかぶさっていたカカシは一度自身を抜き、の腕を取りながらソファにどさっと座った。
腕を引っ張られたはそのままの流れでカカシの膝の上にまたがり、バランスを取ろうとカカシの肩に慌てて手を置いた。

「このほうがいいでしょ?」
「で、でも・・・」
「さっきまでの威勢はどこいっちゃったの」

クスクス笑うカカシは、膝の上にまたがったまま戸惑っているの腰を掴み、そそりたった自身を中には挿れず擦り付けるように動かした。

「自分で挿れてごらん」
「んんん・・・」

じれったい声を漏らしたは肩に置いていた手を離し、自分の中へ誘うようにゆっくりと腰を落とした。

「ん、ああぁ・・・は、あ・・・」

自分の体重も加わって、より奥深くまで入り込んでくる感覚に思わず熱い吐息が口から洩れる。

「あっ・・・あ、ん・・・カカシ・・・!」

ようやく思いのままに快楽を感じられるようになり自然と自ら腰が動いてしまう。

「気持ちいい・・・カカシ・・・」

自分のいいところに擦りつけるに、カカシは手を差し伸べて甘い声を漏らす唇に口づけた。

「ん、ふあ・・・あぁ・・・」

の動きたいようにさせていたが自然とカカシの腰も動いてしまい、より一層の顔が快楽で歪む。

「あ、ダメ・・・カカシ・・・」

切なげな表情を浮かべるは頭を麻痺させるカカシの口づけから逃げるように顔を背け、動かしていた腰もピタリと止めた。

「なんで?気持ちいいんでしょ?」
「ダメなの・・・」

堪えるようにふるふると小さく身体を震わせながら、はあ・・・と息を吐いてカカシを見つめた。

「カカシは動かないでね」
・・・?」

眉を上げて不思議そうな顔をするカカシには軽く口づけて、さっきまで切羽詰まっていたにも関わらず再び腰を動かし始めた。

「ん・・・・」

けれどそれはさっきまでの自分の快楽のためでなく、まるでカカシに刺激を与えるように艶めかしく動くそれに、今度はカカシが眉間にしわを寄せ奥歯を噛みしめた。

「カカシ、この動き好きでしょ?」
「ッ・・・・よく分かってるじゃない」

煽情的にニヤッと笑うにまんまと煽られて、分かりやすいくらい自身が反応する。

「はあ・・・んっ、ぁ・・・カカシ、気持ちいい?」
「うん、気持ちいい。イっちゃいそう」
「イっていいよ」

期待した目でカカシを見つめるだが、そう言われてハイそうですか、という訳にもいかず。

「ん、んぁ・・・ッ」
「はあ・・・・・・」

の腰に宛がわれたカカシの手は熱く、ソファの背もたれに頭を埋めたカカシは気持ちよさそうに吐息を漏らした。

「カカシ、顔・・・見せて・・・」
「・・・・ッ」

ひたりと官能的な手つきでカカシの頬を撫で、天井を仰いでいるカカシの顔を己の方向に向けさせた。

「ふふ・・・気持ちよさそうな顔」
「ご要望通り?」
「うん、堪んない。もっと見せて」

お願いしたことが叶ってうっとりとした表情でカカシのことを見つめる
『カカシの気持ちよさそうな顔が見たい』
そう耳元でお願いした時、カカシはその想定外の誘惑的なお願いごとに思わず頬を赤く染めたのだった。

「もっと見せてあげるから、イかせてよ」
「えっ、あっ」

切羽詰まったような顔を見せたカカシはの腰を掴み思い切り突き上げた。

「あっ!ま、まってカカシ・・・!」
「もうダメ、待てない」

すでにも限界をとっくに超えていて、奥深くを貫かれる感覚に頭の中に電撃が走るようだった。

「んっ、あっ、カ、カシ・・・!」
「は・・・・・・」

ゆさゆさと揺さぶられては目の前で揺れる乳房も弄ばれ、いっぱいいっぱいになってしまいそれでも自然と出てしまう声を抑えようとぎゅうっと手で口を抑えた。

「ん、んぁ・・・ぁ・・・!」
「声出したほうが気持ちいいんじゃないの?」

優しい手つきで口を抑えている手を取り、仰々しく手の甲に口づけた。
そんな中、泣きそうな表情を浮かべながらカカシの言葉に従うように遠慮なく甘い声を上げた。

「あっ、んぁっ!あ、カカシ・・・!」
「おいで」

涙を流すを抱き寄せ、赤い唇に噛みつくように口づけた。

「んっ・・・、ぁ、ん、んんッ!」
「はあ、あ・・・・くッ・・・」

貪るように唇を合わせ舌を絡ませ、まるで一つに混ざりあってしまったかのような感覚にもはや堪えることも出来ずには身体を大きく震わせた。

「あ・・・はあ・・あ・・・・」

身体の奥にあつい熱が当たり、気持ちよさそうな表情を浮かべたカカシも何度か身体を震わせて絶頂を迎えたことを感じた。

「はあ・・・はあ・・・」

すっかり力が抜けたはそのまま荒い呼吸を繰り返し上下に揺れるカカシの胸に倒れ込んだ。

・・・」

カカシのささやきに顔を上げると、愛おしそうに頬を撫でて優しく口づけ合った。

「お誕生日おめでとう。愛してるよ」
「わたしも・・・わたしも愛してる」

狭いソファにどさっと並んで横たわり、のことをそっと抱き寄せた。
大きくて暖かな手で抱き締められ、すぐ目の前には愛おしそうな眼差しを浮かべているカカシ。

「・・・・幸せ」

思わず口に出してしまった言葉に、カカシも嬉しそうに目を弓なりに曲げてほほ笑んだ。

「おれもだよ」

そう言って額にキスをして、二人は幸せそうに瞼を閉じた。



後日、カカシは分厚い封筒をもって帰ってきた。

「カメラの写真、現像してきたよ」
「あっ、この前の?見せて見せてー!」
「おれも受け取っただけでまだ見てないんだよね」

いそいそとは席に座り、カカシもその隣に座って封筒から写真を取り出し頭を寄せ合って一枚ずつ眺めていった。

「あ、これ。アハハ、カカシが撮ったのぶれてる!」
「残念、せっかくいい表情してるのに」
「あっ、見てみて、やっぱりこのカカシ、最高」

完璧なキメ顔を見せるカカシの写真を見て思い出し笑いがこみ上げてくる。

「えーそれ捨てない?」
「ダメ、宝物」

そう言って手元に寄せたになんとも言えない表情を浮かべるカカシだが、ひとまず他の写真をめくった。
写真を見返すたびに楽しかった記憶がよみがえり、二人してクスクスと笑いながら色鮮やかな素敵な思い出を見返した。

「喉かわいたな。お茶いる?」
「ううん、大丈夫」

写真をそのままに先に席を立ったカカシをおいてパラパラと写真をめくり続けた。

「これ・・・」

ある一枚を見て、写真を眺める手が止まった。

「いつの間に・・・」

まるでキラキラと輝いているかのような暖かな日差し、そしてその日差しに包み込まれるようにオレンジの輝きをまとって眠る自分自身の写真だった。

「すごい」

被写体がどうのこうのではなく、そのあまりにも美しく撮れている写真に思わず目を奪われてしまった。
遠くからカカシが戻ってくる足音がして、慌てて写真の束に戻してガタっと席を立った。

?」
「わ、わたしもお茶!」
「あ、あぁ、そう」

あまりにも幸福が溢れている写真に顔が熱くなり、カカシの目から逃げるように席を立った。

「結構撮ったな」

が席を立ったあと、再び席に座ったカカシは先にパラパラと写真を眺めた。
が一生懸命に撮ったケーキの写真。
初心者とはいえ頑張って調整した写真は上手に撮れていて、もしかしたら隠れた才能があるのかもしれない。

「ん?」

写真をめくったのち、見覚えのない写真を見つけた。
こちらに撮った覚えがないのならきっとが撮ったのだろう。

「いつの間に・・・」

狭いソファの上、寄り添いあっている二人に自ら腕を伸ばしてシャッターを押したようだ。
目を閉じて眠っている自分と、こちらを見て微笑みを浮かべている

「すごい」

ほんの些細な一瞬を切り取った写真が眩暈がしそうなくらい幸せそうで思わず目を奪われてしまう。

「カカシ」

キッチンから名前を呼ぶ彼女の方を振り向いた。

「今日のご飯、なににしよっか」

キッチンの窓から降り注ぐ太陽に日差しを浴び、キラキラと輝いているは幸せそうに微笑んだ。













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