「ん・・・・・カカシ・・・・」

ベッドの中、どちらからともなく口づけていた。

あれからカカシは任務が連日続き、互いのタイミングが合わない日々が続いた。
そしてようやくカカシが早く帰って来てゆっくりと二人で家で過ごした日の夜のこと。
久しぶりに一緒にベッドに入り、手を握ったり髪に触れあってじゃれ合っている中、その流れのまま軽く口づけた。
最初はふざけながらついばむように何度も何度も口づけているうちに、だんだんとその目に熱がこもっていく。
寄せあった唇と唇の間に甘い吐息が絡み合う。

無意識のうちにの手が服の上からカカシの胸元を撫でるように動き、カカシは口づけながらの上に覆いかぶさるように態勢を変えた。
の首元に顔をうずめ舌を這わせながら時々きつく口づければ、赤い印が色白の首元に浮かび上がった。
その刺激にビクッと体を震わせたはすこし目を泳がせた後、グイっとカカシの肩を押した。

?」
「きょう、は・・・もう、寝よっか」
「・・・・・」

不自然すぎるの申し出に、さすがのカカシも何かを考えるかのように無言の時間が続いた。
覆いかぶさってこちらを見下ろしているカカシと目が合わせられなくて、この気まずい時間が早く終わってくれと言わんばかりにずっと伏目がちにそっぽを向いていた。

一度ならず二度までも、唐突にからのあからさまな拒絶。
もはや『ごめんなさい』と言うこともできなかった。

あまりにも沈黙の時間が長く、恐る恐るそっとカカシのことを見上げた。

「ッ!」

バチっと一瞬だけ目が合い、カカシの方から目がそらされた。
当たり前のことなのに、ギリッと胸が痛む。

「頭冷やしてくる」
「あ・・・」

なにを考えているのか読めない表情で、カカシは一人ベッドから抜け出して部屋から出て行ってしまった。
あの口づけで体に熱を帯びたのはカカシだけではなく、むろんもカカシを求めて火照っていた。
それは果たしてカカシを求めているのか、ただ快楽を求めているだけなのか。

「もう・・・わかんないよ・・・・」

深く考えず欲求のままにいられれば楽なのだろうが、一度考えてしまったものはそうも簡単に単純になれるわけでもなくて。
泣きそうになりながら腕で顔を覆いカカシが戻ってくるのを暫く待っていたが、結局が起きているうちは戻ってこなかった。


次の日の朝、早い時間にが目を覚ました時にもカカシはいなかった。

「・・・・・・」

ぼーっとする頭で誰もいない隣の空間を眺めた後、もぞもぞと一人ベッドから抜け出した。
寝室から出てまだ薄暗い家の廊下を歩きリビングへ向かうと、ソファの上で横になって寝ているカカシを見つけた。
その姿に少し驚いたが、ひとまず起こさないように洗面所へ向かった。

洗顔を終えて再びリビングに戻ると、さすがに物音に気づいたのかカカシは起き上がっていて「おはよう」といつもの調子でこちらを振り返った。

「おはよう」

昨夜のことを触れられないのならいつも通りに過ごすだけであり、もニコリと微笑んで挨拶を返した。

「今日、任務は?」
「ようやくお休み。は?」
「わたしも今日はお休み」
「そっか。久しぶりにゆっくりできるな」
「そうだね」

いつも通りの、かわらない日常にホッと胸をなでおろした。
それから二人で朝食を取り、昼過ぎには外へ出かけが見たがっていた映画を見ることにした。
シリアスな内容かと思いきや突如濃厚なラブシーンに、暗闇の中では思わず強く手を握りしめた。
画面の中で絡み合う二人に、話の内容云々というよりその快楽に身を任せて気持ちよさそうに互いを見つめ合う表情に釘付けになってしまった。


その後、家に帰って来て時は過ぎ、さて寝るか、と二人は一緒にベッドに入った。
今日あった面白かったことを話して二人でクスクス笑ったり、映画の感想を言い合って納得したり、他愛のない話で盛り上がる。
ただ話しているだけでぽかぽかとあたたかい気持ちになってきて、それは次第に体を火照らせていった。
理由は分からないけれど、でももしかしたら暫くカカシともしていないし無意識のうちに体はカカシを求めてしまっているのかもしれない。

、暑い?顔赤いけど」
「あ・・・いや、ちょっと水、飲んでくるね」

慌ててベッドから抜け出したところで、グイっと腕を引っ張られた。
気付けば再びベッドの上に倒されていて、なんとも言えない表情をしたカカシが覆いかぶさっていた。

「ごめん、俺もう我慢できない」

そういってカカシはと目を合わせないまま口づけた。
言葉通り遠慮もなく舌を絡ませてくるカカシからの甘く激しい刺激に、チカチカと頭の中がスパークするようだった。
交わす言葉もないまま、ひたすらに互いを求めあう。
カカシの大きな掌がの身体を撫でまわし、も無我夢中にカカシの服を脱がせた。

「は・・・ッ、・・・」

二人して中途半端に脱ぎ掛けている服に、乱れた呼吸。
ふとした瞬間に目が合って、そのまま暑そうにカカシは前髪をかきあげた。

「ハァ・・・・ハァ・・・」

カカシの目を見た途端、ヒートアップしていた頭からサッと熱が引いた。

「ま・・・、まって、カカシ・・・だめ・・・」
「なんで?」
「なんでって・・・・」

さっきまでの勢いもどこかに、覆いかぶさるカカシの胸をグッと押した。
しかしカカシはピクリとも動かず、感情の読めない声で尋ねた。

「俺、なにかした?」

なにか返そうと開いた口からは、ただ短く息を吸っただけでなにも言葉が出てこなかった。
ちがう、ともそうだ、とも言えなかった。


「わ、わからなくて・・・!」

促すようなカカシの言葉に思わず口をついた。
一度出てしまえばそれはパラパラと溢れ出して来た。

「カカシが・・・わたしとセックスする理由が分からないの。カカシがわたしのこと求めてくれて嬉しいし、でもそれって、わたしなの?」
「・・・・・・」

支離滅裂な話だろうか、それすらも分からない。
真剣な顔をしたままのことを見つめるカカシが、いまなにを思っているのかも想像することができなかった。

「カカシが見ているその先を、わたしは知りたくない」

欲情したその目の先は、果たしてなにを見ているの?

はいつも目をつぶってたから」
「え?」

カカシがポツリと呟いたかと思えば、制するの手を物ともせずグイッと顔を寄せ唇を重ね合わせた。

「ん・・・、や、まって・・・!」

開いた口に熱い舌が入り込み、粘膜をすり合わせるようにお互いの舌を絡み合わせた。
その甘い刺激にだんだんと力が抜けて来て、頭がぼんやりとしてくる。
目線を少し上げた瞬間パチリとカカシと目が合って、いつもの癖ですぐに視線を逸らして目をつぶった。
するとようやくカカシは顔を離し、そっとの頬を撫でた。

、今だけ俺のこと見ててよ」
「・・・・・」

ゆっくりと目を開け、戸惑いながらもカカシと視線を絡み合わせた。
その目は欲情と困惑の混ざった複雑な色をしていて、思わずぎゅっと自分の手を握りしめた。

カカシの手はスルスルと下へ伸び、すでにとろけきったの中へ指を挿し入れた。
カカシの指がそこへ触れた瞬間にビクリと肩が震え、そのままヌルヌルと指を動かされるたびに自然と声が漏れて来てしまう。

「挿れるよ」

中をかき混ぜていた指が離れついにカカシの熱いものがあてがわれたが、途端に絡ませていた視線を外し思わず顔を逸らして目を閉じてしまう。



優しい声で名前を呼ばれ恐る恐る目を開ければ、しっかりとの目を見つめたままカカシは自身を挿入した。

「ん・・・ッ!は、あっ・・・!」

粘膜が擦られながら中に入ってくる感覚に、ビリビリと全身に快楽が走るようだった。

「はあ・・・・・・・・」

久しぶりの感覚に表情を歪ませていたのはカカシも一緒だった。

「気持ちよさそうな顔してる」

とろけた表情をしている自覚はあったものの、言葉にして指摘されると思わず赤面してしまう。

「カカシもそうじゃない」
「だって気持ちいいから。もでしょ?」

そうだけど、と言いたげな口を塞ぐようにカカシはそっと口付けた。
そのままカカシはゆっくりと腰を動かしはじめ、ゆさゆさと揺さぶられるたびに快楽が突き抜けてくる。

「ん・・・・、は・・・あッ・・・!」
「ね、の声聞きたい」

快楽に溺れるのに抵抗を感じてきたとき、なぜだか自然と声を抑えていた。
どうやらそれもカカシは見抜いていたようでそっとの耳元で囁いた。

「そ、んなの・・・・・・ムリだよ・・・」

例え聞きたいとお願いされたとしても、心のどこかでストップをかけている自分がいる。

「カカシが、もっと、気持ちよくなりたいだけでしょ・・・・・・?気持ちよくなって、早く・・・早く出してスッキリしたいだけなんじゃないの?!」

突然堰を切ったように話すにカカシは少し目を見開いて驚いたように聞いていた。
あぁ、ついに言ってしまった。
オブラートに包むことなく、心の中で渦巻いているモヤモヤをそのまま醜い形で晒してしまった。
ダメだと分かっていても自然と涙が溢れでてきて目尻からハラハラと流れていく。

「・・・・・・」

無言のままカカシはその涙をぬぐい、ゆっくりと瞬きをした後に口を開いた。

「じゃあ、最初の答え合わせ」
「ッ!」

そう言って今までの流れも無視してズンッと一つ大きく突き上げた。
ただでさえ泣き顔なのに、その上カカシからの刺激にもはやくちゃくちゃな表情を浮かべるしかなかった。

「ま、まって!まだ話は終わってない!」
「いや、もう答えが出てるよ」

息も絶え絶えにカカシから与えられる快楽に耐えているだけなのに、それが答えだという。

「んっ・・・!」
「ほら、その顔」

再び突き上げた後に動きを止め、ニヤリと口角を上げた。

は最近ずっと目をつぶってたから分からないだろうけど、俺はずっとのその顔を見てた」
「・・・・え?」
「俺がとセックスする理由はね、の感じてる表情が好きだから。気持ちよさそうな、エロい顔するでしょ?」

その言葉を裏付けるように再び動き出したカカシに対して、は返す言葉が分からず、ただ恥ずかしくてなんとか顔を逸らしてカカシの目から逃れようとした。

「ダメ、こっち見てて」

頬に当てられた大きな手のひらによって再び正面を向けられ、否が応でもカカシと目が合う形となってしまう。

「ぁっ!んんッ・・・!」
「ほら、エロい顔」

ニタっと笑ったカカシは角度を変え何度も挿し入れを繰り返した。
ぐじゅぐじゅと卑猥な音を立てるそこに負けないくらい、も堪え切れない甘い声が小さく開いた唇から漏れ出していた。

「俺のでそういう顔をしてるって思うとますます堪んないんだよね」

要するにをよがらせられる独占欲と支配欲にカカシは快感を感じつつ、その結果として表れているの表情に興奮を覚えるという。

「それに二つ目の答えだけど、悪いけど俺も人間だし溜まったものは出したい。でもその相手はじゃないと絶対ダメ」
「・・・・・・」

ただひたすらカカシの言葉を聞きながら黙って見つめていると、カカシは少し意地悪そうにニヤリと笑った。

「でもそれはもでしょ?」

そう言って印を組んだカカシはドロンと変化の術を発動させた。

「あ!」
「もしやは、こいつでもイけたりするの?」
「あ、ちょっと!」

目の前に現れたのは昼間に見た映画の主役の男性だった。
見た目も声も、仕草までもカカシとは違う赤の他人。
その人物がの上に覆いかぶさり、あろうことかゆっくりとピストンを始めた。

「いやっ、まって!やだ!カカシじゃなきゃ、やだよ!」
「俺は俺だけど?」
「違うよ、全然違う・・・」

情けなくもめそめそと泣きながらそう訴えれば、カカシが扮したその男は一度自身をずるりと抜いた。

「わたしも・・・カカシじゃなきゃダメなの・・・」
「ゴメン、やりすぎたね」

ドロンと術を解き、申し訳なさそうな顔をしたカカシにようやく戻った。

「これでわかった、わたしも、カカシと同じ」

なにかが吹っ切れたように、勢いのままは涙をぬぐいキッとカカシを睨みつけた。

「わたしも、カカシがわたしで気持ちよくなってくれてるのが好き。わたしとのセックスが好きだってことも、わたしもカカシとのセックスが好きだってことも」

さっきまでオブラートがどうとかで落ち込んでいたくせに、まるで言葉を濁らせない直接的な発言に自分でも笑ってしまう。
ポカンとしていたカカシだがフフッと笑い始め、それを見たもアハハと笑い声をあげた。

「すーごいこと言ったな、いま」
「でも、すっきりした」
「だろうねぇ」

カカシは愛おしげにの額に口づけを落とし、一度抜いてしまった自身を再びあてがった。

「気持ちよくなっていい?」
「わたしも気持ちよくなりたい」

まだ二人してクスクス笑いながら、カカシはゆっくりと自身を埋め込んだ。

「ん・・・っ、は、カカシ・・・」

両手をカカシに伸ばせば、引き寄せられるようにカカシはの元へ寄り、赤く熟れた唇へ口付けた。
舌を絡ませ、開いた口からはの堪え切れない甘い声が溢れ出す。
息苦しくなって顔を離しカカシのことを見上げると、宣言通り気持ちよさそうに快楽に溺れるカカシの表情に釘付けになった。
カカシが言っていた、自分で感じてくれている表情というのはあまりにも煽情的だった。

「あっ!はあ、カ、カシ、気持ちいい・・・!」
「うん、気持ちいいね」
「ん、気持ちよさそうな顔してる」
には、負けるかな」

そう言ったカカシはの脚をグイッと抱え、より一層奥を貫くように態勢を変えた。

「あっ!すご、奥に・・・ッ!」

これまで以上に深く入り込む感覚に目の前がチカチカと点滅するようだった。
今までのように自分の声も抑えず、感じたままに自然と声が漏れ出す。
けれどそれがより一層快感を高めているようで、だんだんと頭の中が真っ白になっていく。

「んっ、だめ・・・ッ!おかしくなっちゃう・・・!」
「いいんじゃない?」

ニヤリと笑ったカカシも快楽に耐えるような表情で、の背筋がゾクゾクと震えた。
今まで目をそらしていたけれど、こんなにも官能的で煽情的で、そんな目をまっすぐに向けていたなんて。

「あっ、あ、カカシ・・・ッ!イく、イっちゃいそう・・・!」
「いいよ、俺もそろそろ・・・」

どちらからともなく二人は手を繋ぎ合い、お互いギリギリになりながらも唇を合わせ舌を絡ませた。

「ん・・・あっ、あっ、カ、カシ・・・あぁっ!」
「はあ・・・ッ!くっ・・・!」

ビクッと肩を震わせた二人はほぼ同時に絶頂に上り詰め、ドクドクと最奥に注ぎ込まれる感覚には声にならない声を上げた。
カカシは何度か腰を揺らめかせ、しばらくしてから「はあ・・・」と熱い吐息とともにズルリと自身を抜いた。

「ん・・・・カカシ・・・」

もぞりと気だるげな体を動かしたは、とろんとした目つきのままカカシの自身を手に取りそのまま躊躇なく口に含んだ。

「ちょっ・・・!っ・・・!」

敏感になってるカカシはそれだけでビクビクと体を震わせ、はその様子を見上げながら二人の愛液でまみれたそれを舌で舐め上げた。

「は・・・まだ足りない?」
「カカシもでしょ?」

すっかり固くなったそれから口を離してさらにカカシを誘うように手で擦れば、グイっと肩を押され、あっという間に四つん這いにさせられていた。

それから二人は何度も態勢を変えながらお互いを求めあい、まるで身体が一つになってしまったのかと思うほど心も体も繋がり合っていた。

「果てを見させて、カカシ」

の言葉にカカシは妖しく笑い、その言葉に応えるようにズン、との奥を突き上げた。







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