dorama6 「お父様、外へお散歩へ行ってもよろしいですか?」 「愛しい我が娘よ、いま外界が物騒だということを知っての申し出か?」 「・・・いえ、申し訳・・・ありません」 の母親はある事件に巻き込まれてすでにこの世からいない。 アスマは、もうなにも失いたくなかった。 をしばりつけるのは、愛ゆえの行動だった。 たった一人の娘のは大事に大事に育てられた。 「はぁ、今日も外に出られない、か」 縁側に座り、ため息交じりに空を見上げていた。 すると急に目の前に怪しい人物が表れた。 「きゃあ!」 助けを呼ぶ前に、目隠しをされて誰かに抱きかかえられてしまった。 「騒ぐな。騒ぐと命の保証はない」 声の圧力と、拘束されている力から、一人でどうにも抵抗できない相手だと察した。 男はすぐさま屋敷を飛び出し、を誘拐した。 暗転。 明転すると、そこには目隠しをされて怯えるを目の前に男が満足げに立ち誇っている。 「ふはは!!これで俺は金持ちだ!!」 はははは、と男の笑い声が響く。 「はは・・!!!」 急に笑い声がなくなり、どさっという重たいものが倒れる音。 視界も奪われ、なにが起きたのかわからず、は思わず小さく悲鳴を上げた。 「大丈夫ですか?」 心地よい声がの鼓膜を震わせた。 そしてゆっくりと目隠しが取られた。 目をあけると、そこには倒れた男と、心配そうにを見ている銀髪の男性。 この銀髪の男性が、を誘拐した男を倒したということがすぐにわかった。 「お怪我は?」 「大丈夫・・・です」 「どうぞ、手を」 手を差し伸べる男性。 その大きな暖かな手に助けられ、ふらりと立ち上がった。 「ああ、無事でよかった」 「助けてくださって本当にありがとうございます。えっと・・・お名前は?」 「はたけです。はたけカカシ。」 「カカシさん・・・。どうぞ、屋敷にいらしてください。お礼がしたいですわ」 「いえ、任務ですので」 「任務?」 「ええ。私の仕事は忍です。任務でこの男を追っていたのです」 カカシは倒れてる男を指さす。 「そうなのですか。でも助けていただいたのには変わりありませんし・・・」 「まだお名前を聞いてませんでした。お名前は?」 「わたくし、と申します」 「さん。私は忍です。忍は何でも任務を受けこなします。どうぞ、今度ご依頼してみてはいかがでしょう、貴女のお屋敷の警護、承りますよ?」 カカシはにこっとそう言うと、はなるほど、と気がついた。 「そうね。お父様に頼んでみるわ」 「それでは私は帰ります。さぁ、家までお送りいたしましょう」 「ええ、よろしく頼みますわ」 カカシはを家の前まで送り、帰って行った。 「・・・カカシさん。なんて素敵な方なの・・・」 カカシの後ろ姿を見つめ、頬をうっすらピンクに染めたは屋敷の中へ入った。 一方カカシは。 「いけない。相手は一族のたった一人の愛娘だ。わたしなんかが・・・」 を見送った帰り道、何度も振り返ろうとしたがそれをなんとか押しとどめた。 「だけど・・・さん、貴女の顔が離れない・・・」 屋敷に戻ると、血眼になってを探し出そうとしていたアスマが、ひょっこりと帰ってきたを見つけて力任せに抱きしめた。 そしてなぜ帰ってこれたのか、なにが起きたのか、怪我はないのかと質問攻めにした。 はカカシの名前を出して、どうして助かったのかを丁寧に説明した。 それを聞いたアスマは心底安心し、ますます警備を厳重にしなければ、とぼやいた。 「ならばお父様」 「なんだ?」 「はたけカカシさんを警護に入れてはいかがですか?」 「ああ、いいだろう。実力は確かだということが分かった」 「ありがとうございます」 カカシがの警護につくことが決定した。 再び会える、しかも今度は長い期間、一緒にいることができる。 自室に戻って、喜びを押し殺した声を上げた。 はカカシに惚れてしまったのだ。 しかし、立ちはだかるはアスマの異常なまでの愛。 「だめよ。わたくしたちの恋はきっと許されないわ」 喜びもつかの間、打ちひしがれる。 暗転。 そしてカカシが警護役としてやってきた。 「カカシさん!ふふ、会えましたね」 「ええ、またお会いできる機会を作っていただきありがとうございます」 事情を知らないアスマは、カカシをの部屋の警護にまわした。 そしてカカシの警護中、二人は仲好く話していた。 アスマや見回り気配を感じ取ったら、すぐにカカシは話を止めた。 「これならお父様にもばれませんわ」 がくす、といたずらっ子のようにほほ笑んだ。 が、そのようなことをアスマは知っていた。 「ふむ。この頃カカシとが親密すぎるな」 アスマは廊下を歩きながら呟いた。 そして手をぱんぱん、と鳴らすと、一人の忍が現れた。 「お呼びですか?」 「とカカシの関係を暴き、報告してくれ」 「了解」 そしてひゅっと消えた。 アスマが自室に入り、煙草をふかしていると、さきほどの忍が現れた。 「失礼します。どうぞ、こちらになります」 「御苦労」 忍が消え、アスマは忍が渡した巻物を開けた。 「・・・。カカシよ・・・。」 巻物を読むアスマの顔がゆがみ、グシャグシャと力任せに巻物を潰した。 煙草を灰皿に押しつぶし、手を叩いた。 「カカシはいるか?」 「はい、ただいま」 カカシはアスマの前に跪いた。 「お前を今日限りで解雇する。ただちにこの屋敷から出て行け」 「・・・了解」 カカシは立ち上がり、感情を押し殺しつつ一礼をしてからアスマの自室から出た。 「ああ・・・なぜ私たちは引き裂かれなければならないんだ・・・!」 そして廊下を歩いていると、が女中たちと共に向こうからやって来た。 カカシは誰にもばれないように、とすれ違う時に呟いた。 「お別れです」 は少し歩くスピードが遅くなったが、またすぐに元の速さで歩いて行った。 カカシは家を出た。 「もう・・・一生会えないのですか・・・?」 カカシは名残惜しさが捨てきれず、塀の外の高い木の上に立ち、そこから屋敷を眺めていた。 暗転。 は自室にこもり、悔んだ。 「ああ、わたくしがカカシさんとの関係をもっと内密にしておけば・・・」 はらり、と涙がこぼれた。 「もう会えないの・・・?カカシさんに会いたい・・・もう一度あの声を聞かせて・・・!」 暗転。 カカシは毎晩の屋敷の近くまで行った。 少しでもの近くにいたかった。 カカシの目からを見ることはできたが、はこちらに気づく様子はなかった。 しかしカカシは一目を見られるだけでもよかった。 そしてある夜。 カカシが今日もの屋敷のところへ行くと、 こっそりと屋敷の裏口から出てくるの姿が見えた。 「さん!?」 カカシは走り寄っての元へ行った。 「カ、カカシさん!なぜこんな所に・・・?」 「それは私のセリフです!もし見つかりでもしたら・・・」 「カカシさんこそ、どうしてここに?」 「・・・貴女に会いたくって」 「カカシさん・・・嬉しい」 は満面の笑みを浮かべた。 その笑顔を見て、カカシは決断した。 「さん。どうかこの私と一緒になってもらえないでしょうか」 そう言うと、は驚いた顔をしたが、すぐに 「えぇ、カカシさん。もうわたくしは彼方しか考えられませんわ」 と答えた。 手を取り合い、視線を絡ませる二人。 ようやくぎゅ、と抱き合うことができた2人。 「さん、私と貴女との関係は認められていない・・・。だけど貴女は私についてきてくれますか?」 「そんなことを聞かないでください。わたくしはただ、彼方のそばにいたいのです。」 そしてカカシはを離し、目を見て言った。 の目にはキラキラと涙が浮かんでいた。 「信じてもいいんですか・・・?」 「ええ、もちろん」 「では、明日の夜、この国を出ましょう。二人だけの、遠い地へ行きましょう」 「はい」 大粒の涙を頬に伝わせ、は頷いた。 「明日の夜、私が貴女の屋敷の部屋へ行きます。時間は丑三つ時がよろしいかと。」 丑三つ時、その時間はの屋敷の警備が薄くなる時間。 一度家で働いていただけあり、カカシはその事情をよく知っていた。 「その時に荷物をまとめていてください。一緒に外の世界へ。」 「ええ、必ず」 「さあ、今日はもう帰らなくては」 カカシはの手を名残惜しそうに離す。 しかしはカカシに抱きついた。 「ああ、離れたくない。彼方とずっと・・・永遠にいたいわ」 「それは私も一緒です。 ですが、明日までの辛抱です。明晩、ついに一緒になれるのです」 は決心したかのように、うなずいた。 ゆっくりとカカシから離れる。 「ではさん。明日の夜に。」 「ええ、明日の夜に」 二人は後ろ髪惹かれるなか、違う方向を向き、帰って行った。 暗転。 が廊下を歩いていると、向かいからアスマが。 「。さっきまで姿が見えなかったが。」 「お、お父様・・・!す、すこし夜空を眺めに行っていたのです!」 アスマが腕組みをして、に言い寄った。 「ほう・・・。そういえば、最近カカシとやらと親密な関係にあると聞くが」 「ち、違います!彼はただの親友ですわ」 は内心冷や汗をかきつつ、にっこりと受け流した。 「ふむ・・・そうか」 アスマはにやりと不敵に笑った。 「さて、最近は物騒だからな。今日からは警備を固めよう」 と言って、手をぱんぱん、と叩いた。 すると2人の忍が現れた。 「「およびですか?」」 現われたのは、イズモとコテツ。 「今日からいつも以上の警備を張れ」 「「はっ」」 アスマが冷たく言うと、二人の忍は消えた。 そのアスマの言葉を聞き、の顔色がさっ、と青くなった。 「おや、。顔色が悪い。夜風に触れたからだろう、今日はもう休みなさい」 「・・・はい、お父様。」 とぼとぼとと父は別れた。 暗転。 そのころカカシは。 「くそ、警備が強化されている・・・」 カカシは屋敷の中へ立ち寄ろうとするが、たくさんの忍の数で入れない状態だった。 「・・・。貴方はどこまで私たちの中を引き離そうとするんですか・・・?」 カカシが自分から死角となる場所に殺気をむけた。 「ははは。ばれてしまったか」 「気配がばればれですよ、アスマさん」 そこから出てきたのはアスマだった。 「さて。君はここに何をしに来たのか?早急に答えないと、首が飛ぶぞ・・・?」 アスマは指を鳴らし、5人の忍を呼んだ。 「悪いが君は強い忍だから、こちらも相当強い忍を雇ったよ。」 にやりと笑ったアスマに、ぎりっと歯を噛みしめた。 「さあ、答えろ。君はここへ何しに来たのだ?」 「・・・」 「答えろ」 「貴方に教えることではありません」 「ほほう。ではこれを見てもそんなことが言えるか?」 カカシはいやな予感がした。 そしてアスマはぱんぱん、と手を鳴らす。 そして忍が一瞬消え、またあらわれた。 「さん!」 「カ、カカシさん!ごめんなさい」 カカシがに注意を向けたとたん、カカシはある忍に羽交い絞めされた。 「あっ!カカシさん!」 「くそっ・・・!」 「ふははは!!どうだい、カカシ君。目の前に愛しのがいるぞ?」 カカシはアスマを睨んだ。 「そう睨むんじゃあない。最後にその眼でを焼き付けておいたらどうだ?」 「な?!お・・・お父様?」 アスマは腰にさしてある剣を抜き、カカシに向けた。 「と、いうことだ。あの世で我々を眺めておいてくれ・・・!」 アスマは刀を大きく振りかぶり、カカシを切りつけた。 「カカシさん・・・!!!」 飛び散る紅い血。 その血はカカシの服を点々と赤く染めた。 しかしその血はカカシから出たものではない。 「さん!!!」 どさっ、との体が倒れた。 が、切られるカカシの前に立ちはだかり、かわりに切られてしまったのだ。 「・・・・・・!!なぜだ!なぜお前が!!!」 アスマはカランカラン、と音をたてて剣をおとし、愕然とした。 「・・・!!」 カカシは、羽交い絞めをしている忍を叩きつけ、抜け出した。 そしての元へと駆け寄った。 「さん!さん!!」 青い顔をしたカカシは同じように青い顔をしているを抱き上げた。 「・・・カ、カカシさん」 「どうして・・・」 「ああ、よかった。無事なのね」 その場には似合わない、にっこりとした顔をした。 「なぜ!なぜ私をかばったんです?!」 「だって・・・カカシさんを愛していますから」 「それは私だって同じ・・・」 反論するカカシに、涙をつう、と流したは口づけた。 「愛してます・・・」 といってはがく、と項垂れた。 「さん・・・?さん!!」 の体を揺さぶるが、反応しない。 「あああ・・・」 心の底から悲しい声をカカシは出した。 そしてカカシは冷たくなったを抱き、持ち上げた。 「・・・」 そして無言で立ち去った。 まわりにいたものは、カカシの哀愁に圧倒され、なにも口出しできなかった。 暗転。 ふらふらと歩き続けるカカシ。 腕には抱きかかえた。 「さん。約束しましたよね。二人だけで遠いところへ行こうって。今、私も行きますからね」 カカシは夜、暗い深い森の中を歩き回りながら、冷たくなったに話しかけた。 の膝の下と、首の下で支えてる腕が、の体温を知らせる。 誰も来ないであろう森の奥にようやく膝をつき、優しくを寝かせた。 「さん、寒いですか?」 カカシは自分の着ているベストをにかけてやった。 カカシは口にかかっている布をはずし、の白くなった唇にしっかりと口づけた。 「行きましょう、遠いところへ。永遠に、二人っきりで・・・」 カカシはの手をぎゅっと握りしめ、 もう一方のほうで、クナイを取り出し、自分の首へあてた。 「愛してます・・・」 カカシは、最後にが言った言葉を言い残し、己のクナイで首を掻っ切った。 幕が下りた。 ぱちぱちぱち、とうるさいくらい鳴りやまない拍手。 ぐすん、と鼻を啜る音。 一方、幕の中では。 「カ、カカシさん!!キ、キスした・・・?!」 「あー・・・まーね」 「そ、それって演技ですか?それとも・・・」 「演技じゃなーいよ」 カカシはまたにキスをした。 「犯罪になるんじゃないんですかぁ」 「好きな人にならいいんでしょーよ」 「でしょーよってぇーー。ふ・・ぅえーーん」 嬉しすぎて泣けてきた。 「わ、ちょっと泣かないでよ」 「だ、だってカカシさんがぁー」 すると舞台そでから紅が出てきた。 「お疲れ様!上出来だったわよー」 「あー紅!」 「やだ、なに泣いてんのよ」 「カカシさんがぁーカカシさんがー」 「はいはい。いいから、キャスト挨拶するから立って。幕、開くわよ」 「キャスト挨拶?」 カカシはをよいしょ、と立たせた。 「でも紅、私たち血糊ついたままでいいの?」 「いいよいいよ。着替える時間もないみたいだし」 幕が開いた。 「あら。じゃあ最初はあなたたち二人から。どんどん出てくるから、ずっと待ってて」 「「了解」」 幕が全部開いた。 「ヒロイン役、。ヒーロー役、はたけカカシ」 二人は同時に舞台袖から出ていき、お辞儀をした。 盛大な拍手。 そして、アスマや関わった人全員が出てきた。 「そして脚本、夕日紅。監督みたらしアンコ」 ぱちぱちと体育館がはちきれんばかりの拍手。 「一同、礼!」 アンコの一言。 礼をすると、再び沸き起こる拍手。 アンコがマイクを持ち、挨拶。 その後、紅の挨拶。 そして全員で深々と礼をして、幕が下りた。 幕が下りたとたん、みんな弾けたように歓声を上げた。 「わー!終わっちゃったよー」 「楽しかったー」 「あー俺こんな真剣になったの初めてかも」 「感動だーーー!」 カカシはゆっくりと、泣いているに近づき、ぽん、といつものように手を置いた。 「カカシさん」 「お疲れ」 「お疲れ様でしたぁ」 へにゃりと笑う。 「終わっちゃったな。」 「終わっちゃいましたね・・・」 片付けも早々に終わり、体育館を出ていつもの酒酒屋へ打ち上げに行った。 各自席につき、片手に酒。 アンコが立ち上がり、こほんと咳をした。 「みんな、お疲れ様!大変長い間よくやったわ!・・・しかもこの劇でちゃっかりくっついてる奴らもいるようだしぃ?」 アンコはにやりとカカシとのほうを見た。 もちろんみんなの配慮で隣合わせだ。 真っ赤になったと、はいはい、とカカシが適当にあしらカカシ。 「とにかく!長い間、お疲れ様!そしてありがとう。乾杯!」 「「「「かんぱーい!!」」」」 がしゃんがしゃんとジョッキを合わせた。 はみんなからお疲れ様!と言われどんどんジョッキに酒が入る。 上機嫌のはなにも考えずにぐびぐび飲む。 そしてアンコがカカシとの間に無理やり入り込んできた。 「ー♪」 「わ、アンコ!」 「もうこいつとちゅーした?」 「ちゅ、ちゅーーー?!」 はすでに真っ赤だった顔をもっと真っ赤にした。 「ちょっとアンコ。それってセクハラなんじゃないの?」 「黙りなさいカカシよー」 「ま、キスはしたけど。ね?」 「うううあああはいいい」 「しかもからね」 「カ、カカシさん!もう忘れてくださいよぉ!」 「むーり。だって初めてのからのキスだもん」 「わああ言うなぁ」 アンコは二人を見てからはぁ、とため息ついた。 「やだやだ。すっかりイイ仲になっちゃってねえ。カカシー、あんた泣かしたらただじゃおかないわよ!」 「泣かすわけないじゃないの。俺、大事なものは何が何でも守る主義」 その言葉を聞いてはぼふ、と顔を真っ赤にした。 「かーー、甘すぎるわ!私はもうお暇するわ。ばーか」 アンコはわしわしとの頭を撫でて、もといた場所へ戻って行った。 「まったく、うるさい女だね。」 「ふふふ。ふふふー」 「?」 「えへへーたのしいなぁ」 はぼすっと体をカカシにもたれさせた。 「おもーいよ」 カカシはぽん、と頭に手を置く。 「私これ好きー。カカシさんがぽん、て手を置くの」 「そ?」 「はい、なんか、すごく安心するんですー」 「・・・」 「あい?」 くりんと頭をカカシに向ける。 「お前、酔っぱらってる」 「酔っぱらってませんよぉー!バカにしないでくださいよー」 「はは。変なの」 はにへ、と笑った。 「ねえ、カカシさん、約束しましょ?」 「約束?」 「もう私を子供扱いしない」 「・・・」 「はれ?お返事は?」 「無理だねぇ」 「ひどーい」 「ははは」 カカシはぷうと膨れてるの顎をくい、と上げ、一瞬のうちに口布をおろし、キスをした。 そしてまた瞬間的に口布をあげた。 ほんとうに一瞬だったが、その場にいた忍全員はばっちり見ていた。 『ひゅーひゅー!』 案の定みんながはやし立てた。 「もーうるさいよ。」 カカシが苦笑いで言った。 「じゃ、俺らはそろそろ帰ろっか?」 「えぇー」 「またお前吐いちゃうでしょ」 「あう・・・かえりますぅ」 はふらりと立ち上がる。 カカシはそれを支えるように立ち上がった。 「えー帰っちゃうの?主役じゃんかー」 「そうよーまだいなさいよー」 そういうみんなにカカシが 「だーめ。俺らこれからイチャパラするから」 「「いやーん」」 くノ一が黄色い声を上げた。 「じゃあ、お疲れ様でしたあ」 「お疲れさん」 二人はアンコと紅に挨拶してから酒酒屋を出た。 明るい月が並んで歩く二人をほのかに照らした。 カカシはゆっくりとの手を握った。 もすぐに、握り返した。 「ねえ、」 「はい」 「俺の家、反対側なんだけどさ」 「あ・・・あぁー」 二人が歩いている方向はの家の方面。 くる、とが特になにも考えずに踵を返した。 「ん?カカシさんの家に行くんです?」 「の家でもいいけど?」 「なにするんですか?」 「え、聞きたいの?」 「・・・・」 はすっかり真っ赤になってしまった。 そのをみてカカシは 「おれ、すっかりにはまっちゃったよ」 なおもこんなことを言われて、は倒れそうになった。 「カ、カカシさん、酔ってる私にそんな言葉はきついです、倒れちゃいます」 「あぁ、やっぱ酔ってるんだ?」 くすくすと笑う。 「もー!カカシさん、劇の中のカカシさんの健気さを見習ってくださいよ!」 「そうねぇ・・・。申し訳ありませんさん。どうか私のご無礼をお許しください」 カカシも酔っているのか、途端に劇中の「カカシ」となってに跪いた。 「ええ、カカシさん。わたくし、気にしてなんてないんですのよ」 「はは、なにそのセリフ!さすがアドリブ下手だな〜」 「だって〜急にあんな堅苦しい言葉でてこないですよぉ」 は〜、と大いに笑ったカカシはの肩を抱いた。 「カカシさん、このたびは本当にありがとうございました」 「いえいえこちらこそ」 「この劇なかったら私カカシさんとこんな関係にならなかった」 「おれも。劇、やってよかったね」 は一生懸命背伸びをして、カカシの頬にキスをした。 「大好き」 がぽつりと言うと、カカシは屈み、ちゅ、と音をならしての唇にキスをした。 「俺を守って死んじゃだめだからね」 「じゃあカカシさんも自殺しちゃだめ」 「 「 約束 」 」 これにて終劇 5<<< Novel TOP |