「・・・きゃああああ!!」 21時から木の葉テレビ番組にて、蒸し暑い夏によくある心霊特番が放送されている。 叫び声の主、は怖いものが大の苦手。 心霊番組を見たら必ず後悔するはずなのに、なぜか事前にチェックして、必ず見てしまう。 これはやばい、見てはいけない、と分かっているのに、テレビから目が離せない。 「ちゃん、うるさーい」 隣で並んで見ているカカシの手をしっかりと握りしめ、クッションに顔を沈めているに、カカシはくすくすと笑った。 しかしは返事もせずにただカカシの手を握りしめる。 そしてそろーっとクッションから顔を出し、テレビ画面をこっそり見る。 テレビは今はゲストの談話中。 「はあー怖かったぁ・・・。カカシさん怖くないんですか?」 「うん」 「ええ!こんなに怖いのに!わたしほんとムリなんですよぉ・・・」 「じゃあ見なきゃいいんじゃない?」 「いや、それは・・・」 ついつい見てしまう、とへにゃっと笑った。 テレビは場面が代わり、心霊写真を紹介するものとなった。 「うわあ、こわそう・・・」 「心霊写真だなんてただの合成じゃないの」 「ちがいますよ!本当にいるんですよ!そんなこと言ってると呪われちゃいますよ!」 む、とカカシのことを睨みつけてから再びテレビ画面に顔を向けた。 「はいはい。で、おれ風呂入るけど、ちゃんどうする?」 「え?お風呂ですか?えーっと・・・えと・・・」 テレビが見たい。 けど怖いから一人になりたくない。 テレビとカカシの顔を困った顔で交互に見る。 「ま、心霊写真くらいちゃん一人でも見れるか」 「う、う〜ん・・・わ、うわああ!!」 の悲鳴を聞きながら、カカシは風呂へと向かった。 カカシは心霊ものなんて信じない。 いや、信じないというか、存在はするのだろうけど怖くない。 そんなものが怖ければ、暗闇で行動する暗部任務や、暗殺任務はできない。 ----「きゃあああ!!」 遠くからの悲鳴が聞こえる。 時刻は22時45分。 あの番組もそろそろ終わるだろう。 「きゃああああああああ・・・!!」 今までで一番大きな悲鳴が、浴室にいながらも鮮明に聞こえた。 最後の一番怖いものを見たのだろう。 映像よりの悲鳴に驚くんだよなぁ、と独り言。 タオルで髪を拭きながらのいるリビングへと向かった。 そこには涙目で、ソファで丸くなりながらクッションを抱きしめて倒れこんでいるがいた。 放心状態の姿にカカシはくすりと笑った。 テレビは番組が終わり、今はCMが流れていた。 カカシはタオルを首にかけ、ソファの空いている場所に座った。 「終わったの?」 「はい・・・」 「じゃあ、お湯がさめるまえにお風呂どうぞ」 「うう・・・」 はクッションを手放し、代わりにガシ、とカカシの手首を掴みんだ。 はソファから立ち上がり、カカシの手首をしっかりとつかんだまま連れて行く。 「ちょ・・・どこいくの、俺まだ着替えてないんだけど。下パンツよ?」 「大丈夫です」 「いやいや、なにが!」 ずんずんとが歩いて行った先は、浴室。 「あの・・・ちょっと向こうを向いていてください」 「はいはい」 素直にに背を向けると、はカカシの手首を離し、ごそごそと服を脱ぎだした。 「もういいですよ。ずっとそこにいてくださいね!」 カカシが振り返る前に、が急いで風呂にはいってしまった。 あ、惜しいことした、と悔しがる前に、中からシャワーを浴びる音が聞こえた。 「カカシさぁん、いますか?」 「いますよー」 「あ!」 「なに?」 「目、つぶれない・・・」 間抜けなの解答に、思わずカカシは笑ってしまった。 「カカシさんなんか喋っててくださいよぉ、それか歌っててください・・・」 「ええ?」 「だって・・・もし耳元で唸り声とか聞こえたり・・・」 「ないない、だいじょぶよ」 子どものように怖がるがおもしろくて、ふといたずらを思いついた。 「あ、じゃあ歌ってあげよっか」 「おねがいします!」 「かーごめかーごめ・・・」 「だめえええ!!!」 すりガラスごしにがしゃがみこんだのが見えた。 「はは、ごめんごめん」 「もう・・・カカシさんのばかぁ・・・」 ふと、カカシは自分の格好に目が行った。 タオルを首にかけ、そして下着だけという間抜けな恰好。 Tシャツでもいいから上に着たい。 どうせなら冷えたビールも欲しいところ。 「・・・カカシさんいますか?」 「ああ」 風呂上りの冷えたビールは美味い。 ぐいー、と一気に飲んでぷはーっとやりたいところ。 「カカシさん!」 「はいはい、いますよ」 と一緒に飲んでも楽しい。 ちょっと飲むだけで顔を真っ赤にさせて、くらくらしてる様子は、可愛らしい。 の気分が乗れば、歌もうたう。 すこし調の外れた歌。 「カカシさんいますか?」 「・・・」 そういえば、昨日の時点でビールがきれていた。 買い足しに行かないとなあ。 「カカシさん?」 「・・・」 ついでに、新しい歯磨き粉と、牛乳と・・・ 「カ、カカシさん?!」 「あ、はいはい、いるよ〜」 「よかったぁ〜」 つい、返事をするのを忘れてしまった。 シャワーの音がやみ、体を洗い始めた。 「カカシさんいますか?」 「ん」 返事するのもなんだか面倒になって来た。 いつのまにカカシの髪の毛も乾いた。 そしてなにより暇だ。 せめて本とかなにか・・・ 扉のすぐ向こうではがシャワーを浴びている。 けなげに扉の前に、床に座り込んで、ただ返事を返している自分。 「・・・・」 扉の向こうには全裸の。 「カカシさんいますか?」 「いるよ」 よっこらせ、とカカシは立ち上がり、なにも言わずに下着もタオルも取り払う。 『こんな美味しい状況、見逃すわけにはいけないよね〜』 なんですぐに気が付かなかったんだろう。 あー、もったいない。 ガチャ 「わ!!!び、びっくりしたあ」 扉のノブを捻っただけでの悲鳴が上がった。 「カカシさん?!ど、どうしましたか?」 慌て怯えてるをそのままにし、勝手にドアを開けて風呂に入る。 「俺が一緒に入っちゃえば怖くないでしょ?」 「いや、まあそうなんですけど!」 慌ててタオルを取ろうとするの腕を取る。 「全身泡だらけにタオル?」 「で、でも」 タオルで体を隠そうとしたが、それを阻止されてしまい、なんとか腕だけで胸を隠そうとしている。 かえってその様子がカカシを欲情的に煽る。 「ほら、はやく泡おとしちゃいな」 「は、はい・・・」 カカシは浴槽のふちに腰掛け、が体を洗うのを待つ。 「あの・・そんなに見られたら恥ずかしいです・・・」 「別に今さらじゃないの」 「うう・・・」 真っ赤になりながら泡をおとしていく。 その隙にさっきまでお預けされていた分、じっくりとの体を拝み見る。 きゅ、と細く引き締まっているくびれ。 カカシの手にちょうどよく収まる乳房。 肩甲骨あたりまでのなめらかな髪の毛。 色白の体が、シャワーの熱でほのかに赤く染まっている。 湯がすべての泡を洗い流し、はようやくタオルを体に巻いた。 「ね?俺がいたら怖くなかったでしょ?」 「そう、ですね」 怖さより羞恥の方が強かったですけど、と言いたげなは湯船につかり、ついでにカカシも一緒につかった。 「カ、カカシさんはさっきも入ったんじゃないんですか?」 「だーって濡れちゃったし、せっかくだしね」 カカシが浴槽に寄りかかり、が空いたスペースに座りこむ。 小さくなっているを自分の体に寄りかかるように抱きしめた。 は顔を真っ赤にさせながら、ぎゅ、と体に巻いているタオルをきつく抱いた。 それを見逃さないカカシ。 「タオル気持ち悪くないの?」 「え?」 が後ろを振り返る。 「これ」 「だ、大丈夫・・・です」 「俺しかいないんだから取っちゃいなよ」 「でも・・・」 「ね?」 とびっきりの笑顔をに向ければ、は赤い顔をもっと赤くし、カカシと目を離した。 「見ないでくださいよ・・・?」 そう言ってはようやくタオルを外した。 まあ見るな、と言われて見ない馬鹿はいない。 「でも・・・カカシさんと一緒に入ったら怖くなかったです。ありがとうございます」 恥ずかしそうに言うそのの姿に、カカシの心臓はどきん、とはねた。 「・・・」 くる、との体の向きをカカシ側に変え、驚いているにキスをした。 「ん・・・」 長く深く口づけると、もそれに対応してきた。 ちゅ、くちゅ、と浴室に響く。 の動きに合わせてぱちゃ、と湯がはねる。 ただのキスとはいえないような、深く甘いキス。 その隙にもカカシの手は、するするとの乳房に伸びて行く。 そしてゆっくりと揉むと、びくん、とのからだが反応した。 すこしずつ尖りだした先端を抓るように指ではさむ。 「んぁ!ふ・・う・・・」 キスを続けたまま、カカシの口の中で喘ぐ。 カカシは我慢が出来なくなり、長い指をの中へ挿入した。 「んん!」 びっくりしたは思わずカカシとの口づけをやめ、カカシの肩を押した。 「だ、め・・・カカシさん!」 「なーんで?」 「だってここお風呂!」 「だから?」 反抗しようとして口を開くはいいが、そのタイミングを狙っていいところを突くカカシによって、出てくる声は喘ぎばかり。 「でも、悪い気はしないでしょ?」 すると急にカカシが指の動きを速めた。 「や!あ、ああっ!」 与えられる快感に耐えながら、カカシを少し睨んでみる。 だがカカシにしてみれば、赤い頬で唇を噛みしめながら、上目遣いで見てくる。 そんな姿を見たカカシは指を抜き、の腰を引き寄せて性急に貫いた。 「あああっ!」 ばしゃ、とお湯がはねる。 カカシはを抱きかかえて立ち上がり、駅弁のかたちでを責め立てた。 急に不安定になったは、ぎゅう、とカカシの首に必死に抱きついた。 「や、カカシさん!あ、ああっ!熱・・・あつい・・・」 「はあ・・・・・・」 「あ、ああ、や、だめ・・!!」 思うままにを揺さぶり、足元でお湯が荒立つ。 鬱陶しく思い、早々に浴槽から出た。 抱えていたをおろし、後ろを向かせて鏡に手を当てさせた。 そして再びを突き上げると、は甲高い声を上げた。 「ね、前みてごらん」 俯いているに声をかけ、前を向かせると、そこには二人の姿が映し出されていた。 「!!」 「こーんなエロい顔してるのよ、ちゃん」 「や、やだ・・・んっ、恥ずかしい、です・・・」 すぐには鏡から顔を背けてしまった。 いつもなら背面からは見えないの顔も、鏡によって今日はよく見える。 つい、腰の動きも早まってしまう。 「はあ・・・ちゃん、いい顔してる」 「あっ、カカシさん、も、イきそう・・・はあ・・・」 も鏡越しにカカシを見つめる。 「うん・・・俺も・・・そろそろ」 カカシもも、鏡越しに見つめ合う。 「んっ、カカシさん!あ、はあ、イく・・・あああっ・・・!」 「・・・くっ」 きゅう、との中が締まり、カカシも同時に達した。 「はっくしょん・・!」 「いやー・・・」 「げほっげほっ!は、はっくしょん!」 「すまないねぇ」 翌日。 の体温は上がり続け、39度。 それを看病しながら笑うカカシ。 じろ、とカカシをにらむが、熱で弱ったの睨みなど、カカシにしてみりゃ可愛いもの。 「ガガジさん〜」 「いやー・・・のぼせちゃった上に風邪までひかせちゃって。はい、薬」 カカシはベッドで寝ているの横に座り、薬を取り出した。 カプセルを取り出し、カカシはそれを口に含んだ。 「え゛・・カカシさんが飲んだら意味ないじゃないですか」 一口水を含み、そのままに口づけ、口移しで薬を飲ませた。 「んー!」 ぷは、と飲みこみ、口をはなす。 「風邪菌がうつりますよ・・?」 「のだったら大歓迎」 「ふふ、なんですかそれ」 弱々しく笑ったの頭を優しくなでた。 「ほら、寝てないと治らないよ?」 「はーい」 は素直に目を閉じた。 バタンッ 突然ドアが閉まる音。 「うわぁ!」 「ん?」 カカシは目の前にいる。 は寝ている。 他に誰も家にいない。 昨日の怖いテレビがの頭の中でフラッシュバックする。 風で閉じたのかと思ったが、窓から外を見てみるが風は吹いてない。 「い、いいいいいまのって?!」 はふとんをガバッとかぶった。 カカシも少し驚きながらも、その正体に気づき、笑っていた。 「カカシさん!そばにいてくださいね!」 「というより・・・」 ばさ、と布団をめくり、その中にカカシも一緒にはいりこんだ。 「カ、カカシさん!ほんとに風邪うつっちゃいますよ?」 「このほうが温かいでしょ?」 「そうですけど・・・」 なんていいながらも、えへへ、と微笑んだに、昨晩の二の舞になるのは誰が見ても思うだろう。 「パックン、そろそろもどってなさいよ」 ぼそり、カカシが呟いた。 「勝手に呼び出しておいて、なんじゃい」 薬の使いのためだけに呼び出されたパックンは悪態をついてドロン、と消えた。 LOVER TOP NOVEL TOP |