朝を告げる鳥の鳴き声にはゆっくりと目を開ければ、そこには愛しい相手がすやすやと眠っていた。

「・・・・」

まどろみの中、ぼんやりとその寝顔を観察。

美容に気を使っているの肌に、負けず劣らずの美肌。
常に口布を着用しているため、日焼け知らずの色白。
とじられた瞳には、長い豊かなまつ毛。
鼻筋が通っていて、ひいき目なしにその整った顔は世間の女性を騒がせるそれである。

ずるいなぁ、と思いつつもその顔から目が離せない。

任務中に見せる鋭い眼力。
いかなる事態にも、冷静に判断を下す聡明な忍。

そんな人が、いま目の前で不用心に寝顔をさらしている。
心を許されている証に、ちょっぴり誇らしい気持ち。

「ん・・・・」

さすがにの視線に気づいたのか、ゆっくりとカカシも目を覚ました。

「おはよ、カカシさん」

まだ夢うつつのカカシは、にこりと微笑んで口パクでおはよう、と返した。
二人の体温で暖まっている布団の中でカカシの手が動き、の手をつかんだ。
そしてそのまま自分の頬に宛がえらせ、幸せそうに再び目を閉じた。

指を動かしてカカシの頬を撫でれば、くすぐったそうにカカシは小さく笑った。
その反応が面白くてむにむにとつまんでいると、とろんとした目を開けて、負けじとの頬に手を当てた。

大きくて温かな手で頬を包まれ、どきりと胸が高鳴る。
耳に髪の毛をかけられ、愛おしげに頬を撫でられると、なんだかくすぐったくてくすくす笑ってしまう。

そんなを目の前に、カカシもつられて笑みがこぼれる。
の頬にあてた手を頭の後ろに回し、ぐいっと引き寄せた。

少し驚いたように目を見開くを無視して、その柔らかな唇へと口づけた。
途端に頬が赤くなるの頭を撫で優しく抱きしめれば、やっぱりはくすくす笑っていた。

「カカシさんは、ほっぺも唇も柔らかいですね」
「それはもだよ。なんなら、試してみようか?」
「え?」

カカシの胸元に埋めていた顔を見上げるように上げれば、その隙に頬に口づけられた。

「ほら、どっちも柔らかい」
「うん・・・・」

なんだかしてやられた気がするが、カカシからの口づけが嬉しいのもまた事実。

「せっかくだし、他のとこも試してみよっか?」

ニヤリとカカシが言ったセリフに、つい笑ってしまった。

「あは、遠慮しまーす」
「またまた〜」

ぐい、と体勢を変えて上から覆いかぶさるようになったカカシは、くすくす笑いながらの首元へ口づけた。

「ふふ、くすぐったいよカカシさん」


二人して笑いながらじゃれ合う、二人だけの幸せな時間。

それはまるで、世界中の幸せを二人じめしているかのよう。





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