静かな休日。

外はうるさいくらい蝉が鳴いていて、じりじりと太陽が地面を焦がしている。
こんな日は、クーラーの効いた部屋でアイスコーヒー片手に読書するのが一番。
各々好きな本を持ち出して、ダイニングテーブルに向き合って座った。

最初はカカシと一緒にいられるからと乗り気だったが、いざ本を読み始めて30分。
考えてみればこの本はもう読んだことあるし、外はいい天気だし、なんだか退屈だし、飽きちゃったし、静かだし。


「・・・・」


もう文字なんて追えない目は、本を通り越してつつつー、と視線を上へ。
本を読んでいるふりして、ちらっと盗み見。

よく見るオレンジ色の背表紙の本を広げ、真剣な眼差しで読んでいるカカシ。
片手で本を持ち、もう片方は肘をついて頬に手を宛がっていた。
いつも口布で隠しているクセなのか、自然と大きな掌で口元を覆っている。

細長くて、でも骨ばった綺麗な指。
整えられた爪がなおさらその造形美を増している。

筋肉でくぼみができている腕は色白く、浮き出ている血管が逞しい。

がっしりとした肩、シャツからのぞく鎖骨の凹凸、時々上下に動く喉仏。

手で隠された口元が、指と指の間から少しだけ見える。

薄すぎず分厚すぎない、形のいい唇。

鼻筋の通った高い鼻。

閉じられた左目に走る傷跡に、歴戦の栄光と悲哀が垣間見える。


「・・・あっ」


盗み見ていたはずなのに、バチッと目が合ってしまった。

驚いて、ついつい目が離せなくて見つめ合う。
いつからこちらを見ていたのか、優しげな瞳。
そしてニヤッとゆっくり目じりが下がった。

「見すぎ」

ふふっと笑う表情が美しくて、ますます目が離せない。


わたしはあなたに、いつまでも夢中で。





モドル