「もしおれが吸血鬼だったらどうする?」 「どうするもなにも・・・」 「の血じゃないと生きていけないって、すごくない?」 「もう、なに言ってるの?それに別にわたしの血じゃなくてもいいんじゃないの?」 「ううん、のじゃないとダメ」 クスッと笑うだが、その冗談とも本気とも言えないカカシの読めない表情に口をつぐんだ。 「の血はどんな味だろうね」 味見をするように、そっとの唇に口づけた。 「きっと・・・美味しいだろうね」 言葉の不気味さとは裏腹に、にこっと優しく微笑むカカシには少し背筋を震わせた。 とカカシが付き合って結構な年月が経つが、付き合って分かったことは案外カカシは嫉妬深く、独占欲が強いということ。 「これ、プレゼント」 「プレゼント?何の日でもないのに?」 「に似合うだろうなーと思って」 カカシから受け取ったのはラッピングされた小さなボックス。 開けてみると、中には小さな飾りが付いたシンプルなアンクレットが入っていた。 「わ、かわいい!」 「よかった。左足につけてね」 「うん、ありがとう!」 その時はなにも知らずに素直に左足につけ、デザインも含めてすっかり気にいった。 が、ある日カカシの「左足につけて」という発言がふと気になってその意味を調べてみた。 ─────アンクレットの起源とされている奴隷の鉄環が左足に装着されていたことから、左足につけるアンクレットは「誰かの所有物である」という意味・ジンクスを持つようになった。 「所有物・・・」 思っていたより重たい由来にドキッとした。 おそらくカカシは知っていて、あえてそのことを言わずに左足に着けることだけを言ったのだろう。 が、別に由来を知ったところでアンクレットを外す気にはならなかった。 なんだかさっきより左足に存在感を感じ、『所有物』という言葉がむしろ嬉しく思えたりしてドキリと胸が高まった。 初めてカカシとセックスをした日、それはにとって処女を捧げた日となった。 「カカシ・・・」 「こわい?」 「少し」 「大丈夫、力抜いて。痛くないようにするね」 優しい微笑みを浮かべ、カカシはゆっくりと腰を沈めた。 「いッ・・・ぅあ・・・ッ!」 「くっ・・・」 ギュッと閉じた目から涙が流れた。 が慣れるのを待ってくれているのか、しばらくカカシは身動きを取らず優しく頬や頭をなでたり、そっと額に口づけてくれていた。 「カ、カシ・・・・いいよ、きて・・・」 「ゆっくり、ね」 の苦痛と快楽が混ざりあった表情を眺めながらカカシは言葉通りゆっくり動き出した。 「ん・・・・はッ・・・」 カカシが動くたびに左足にかかっているアンクレットがゆらゆらと揺れ、次第にそれは足首からふくらはぎへ伝い落ちる。 「これ、似合ってるよ」 アンクレットに気付いたカカシは抱えているの脚に口づけて恍惚の表情を浮かべた。 その表情にゾクゾクと背筋が震え、思わず身体が反応してしまう。 「は・・・ッ、そんな締めないで」 「だって・・・」 自分自身ですら制御できなくて、カカシとつながっている部分を中心にじんじんと熱を帯びているのが分かる。 「やっぱり血、少し出ちゃったね」 「あ・・・・」 「大丈夫?まだ痛い?」 「ううん、もう、平気」 まだ若干の痛みはあるものの、むしろ快楽の方が勝ってきてだんだんと頭の中がとろけてくるようだった。 「ね、覚えてる?」 いわゆる破瓜の痛みの印を、こともあろうかカカシは指先で拭った。 「おれがもし吸血鬼だったらって」 「カカシ・・・?」 明らかに興奮した面持ちのカカシは、指先に着いた赤い鮮血を口元に寄せ、に見せつけるように指先を口に含んだ。 「ちょ!カカシ!」 「やっぱり」 「え・・・?」 ギョッとしたはカカシの腕を掴んで口から離そうとするも、そんなこともお構いなしにカカシはニヤッと狂気じみた笑みを浮かべた。 「やっぱりの血は美味しい」 妖しく笑った口元から覗く尖った八重歯と唇を舐める舌があまりにも官能的で、それだけで絶頂を迎えてしまった。 ある日のこと、里の外へ任務で出ていたカカシが帰ってきた。 「これ、お土産」 ベッドの上に腰掛けているにぽん、と小さな箱が渡されて何だろうと思いながら箱を開けた。 「え?これって」 「ピアス」 ふたを開けた中には銀色の小さくてシンプルなピアスが入っていた。 「でもわたし・・・」 自分の耳たぶに触れるも、そこには一度もピアスを通した跡はない。 「うん。だからさ」 「!」 目を奪われていたピアスから顔を上げた瞬間、ぐいっとベッドの上に押し倒された。 「ッ!」 なに、と声を上げる前に思い切り口づけられていて、頭が追い付いていない間にもみるみるうちに服は脱がされ身体中を愛撫されていた。 「待・・・・、カ、カシ!」 口づけの合間になんとか声を上げるも、カカシは方眉を上げて返事をするだけで自分の着ていた服もぐいっと脱ぎ始めた。 受け取ったピアスの箱もまだ手に持ったまま、それでも確実に体温は上げられていて身体中を愛撫されて何も考えられなくなっていた。 「」 いつの間にかお互い生まれたままの姿になっていて、ベッドに手をついてに覆いかぶさったカカシは荒い呼吸を繰り返しながらベッドのきしむ音と共に再び口づけた。 「んっ、ふあぁ・・・!」 すでに甘い蜜を溢れさせているの中にカカシの長い指が挿しこまれ、いまだその快楽に慣れていないはそれだけで頭の中が真っ白になる。 「あ、んん、カカシ・・・ッ!」 思わずカカシの肩を掴むものの指の動きはますます早くなり、耳をふさぎたくなるような粘膜が擦られる音に余計に煽られる。 そのうえ絶え間なく口づけは続いていて、呼吸のタイミングもよめずに酸欠状態で頭がクラクラする。 「ん、んぁっ・・・、あっ、あぁ・・・ッ!」 コリっと指先で弄られた瞬間、ビリビリと身体中が震えてあっと言う間に達してしまった。 それと同時にようやくカカシも顔を離し、すっかり放心状態になったは荒い呼吸を繰り返した。 「・・・いい顔してるね」 ニヤッと笑ったカカシはの紅く熟れた唇を指で撫で、最後にもう一度軽く口づけた。 「これ、貸して」 「え?うん」 自分でも忘れていたが依然持っていた箱を手渡すと、先ほどは気づかなかったが隅っこの方に銀色の棒状のものがあったようでカカシはそれを取り出した。 「カ・・・カカシ・・・?」 先端は尖っていて、棒というよりもはや細長い針。 鈍く光るそれを持つカカシにゾクリと背筋が震えるが、当の本人は何食わぬ顔。 そんなを差し置いて、カカシは針を片手に再びの上に覆いかぶさり、何事もなかったように口づけた。 「んんっ!?」 状況に追いつけず目を白黒させていたが、悲しいかなカカシの舌と絡み合った途端に快楽に負けて思考が止まってしまう。 「・・・」 頭を撫でていた手がの右耳に触れ、さすがにの肩が震えた。 「ねえ、にピアス開けさせて」 「・・・・・・!」 感情の昂りを見せるカカシに思わずはゴクリとつばを飲み、なにか言おうと口を開けるも言葉が出てこない。 「このピアス、特別なんだ」 「特別・・・?」 「あとで教えてあげる」 ニヤリと笑ったカカシはさっそく右耳に手を宛がって医療忍術を施した。 「そうだ、一緒に挿れていい?」 「え?・・・あッ!」 覆いかぶさったの脚の間にこれ以上ないほどそそり立っている自身を擦りつけ、その存在感にはパクパクと口を動かすことしかできなかった。 「大丈夫、こう見えておれ、器用だからさ」 「それ・・・は・・・知ってるけど」 そうこう言っているうちに体勢を変えるカカシに、なぜかこれから訪れであろう快楽に胸を高まらせている自分がいた。 「ね、いい・・・?」 興奮と欲情が入り交じった表情を露わにし、甘えた声色のカカシが愛おしくてたまらなくて恐怖どころか多幸感に包まれながら頷いた。 「ああ・・・愛してるよ、」 満足そうに微笑んだカカシはニードルを持ち直して、の脚の間に身体を入れ込んで硬く張り詰めた昂りをぬるぬるとに擦りつけた。 優しく耳に触れているのだろうが、さっき施された医療忍術のおかげなのか耳元だけ感覚が鈍い。 「ここがいいかな」 それでも耳たぶに冷たいニードルの先が触れたのは感じ、思わず身体がこわばってしまう。 「大丈夫、力抜いて。痛くないようにするね」 いつぞやか聞いたセリフには小さく頷いて、ドキドキと恐怖なのか興奮なのか暴れる心臓の鼓動に身を任せた。 「いれるね」 「あっ、あッ・・・!!」 ずずっとカカシの自身が入り込むと同時に、ピリッとした痛みが耳に走った。 「いッ・・・」 「痛かった?ごめんね」 言葉とは裏腹にゾクッとするような笑みを浮かべるカカシは、その笑顔の裏に明らかな興奮を見せていた。 「似合ってるよ」 いつの間にやらさっそく開けたばかりのピアス穴に先ほどの銀色のピアスが輝いていた。 「あ・・・カカシ・・・・」 ゾクゾクと背筋が震え、感情の昂りに堪えきれず流れた涙で世界が歪む。 「・・・のその顔だけでイきそう」 そう言って問答無用に腰を動かし始めるカカシに、痛みを上回る快楽に溺れるは気が狂ってしまいそうだった。 「あっ、あ!だめ、気持ちいい、カカシ・・・!」 右耳の鈍い痛みと、今までに感じたことがない特別な重み。 そしてカカシから与えられる快楽になにもかもが満たされる。 「最高、その顔」 そっとカカシはに口づけたのち、右耳に顔を寄せピアスの上から舌を這わせた。 「ん、あぁ・・・!」 「の処女、2個も貰っちゃったね」 「バカ・・・!」 舌なめずりをしたカカシに堪えきれずに腕を伸ばして口づけて、そのまま甘く深い泥濘の中に快楽と狂気と共に二人は溺れた。 ベッドの上で裸で抱き合う二人。 の右耳には銀色の小さなピアスが輝いていた。 「ねぇ、このピアス・・・どうしたの?」 「あー・・・聞きたい?」 「うん」 再び医療忍術を当ててくれてすっかり痛みも出血もなくなったが、今までなかったものがある違和感についつい気になって触ってしまう。 「それ、おれの血で出来てるんだよね」 「・・・・え?!」 「血で出来てるっていうか───」 要するに血液中に含まれる成分を一部素材として使われているようで、淡々と説明するカカシに対してぽかんと口を開けたまま何も返事することができなかった。 「引いた?」 「まさか!むしろなんか・・・・嬉しいというか」 何度も何度も指先でピアスを撫でては口元が緩んでしまう。 確かに特別という所以が分かる。 まるで常にカカシがすぐ近くにいるような感覚で、それが堪らなく幸せだった。 「・・・おれもピアス開けようかな」 「そしたらわたしが開けてあげる」 のその様子を見たカカシが左耳を触りながらぽつりと呟き、はその隣でニヤリと笑った。 「カカシの血も、きっと美味しいと思うからさ」 八重歯を見せて笑うにカカシは満足そうに微笑んだ。 Under TOP Novel TOP |